「高畑充希の出演ドラマにはハズレがない」といわれる。『とと姉ちゃん』（NHK）、『過保護のカホコ』（日本テレビ系）、『メゾン・ド・ポリス』（TBS系）、『同期のサクラ』（日本テレビ系）などで演じたちょっとクセのある主人公は、高畑ならではの魅力に溢れている。独特の感情表現に優れているのだ。

　そんな彼女の最新作が『にじいろカルテ』（テレビ朝日系）。自らの病を隠して「虹ノ村診療所」に赴任してきた内科医（ポンコツドクター）紅野真空（くれのまそら）が彼女の役どころ。

　この診療所には、外科医の浅黄朔（あさぎさく＝井浦新）と看護師の蒼山太陽（あおやまたいよう＝北村匠海）が常駐しており、真空はこの二人とシェアハウスに住んで「最強のトリオ」を組むことになる。

　基本的に医療ドラマだが、難しい手術に挑戦するスーパードクターの話ではなく、「虹ノ村」の住民たちの生活に密着し、彼らの病気と向き合うことによって、村人の生活を支える普通のお医者さんの話なのだ。そういった意味で、このドラマは「ドクターＸ」の対極にある物語といえる。

　しかし、真空は病を抱え、浅黄にはなにやら暗い過去がありそうで、そうしたバックグラウンドのない太陽は、そのことにコンプレックスを抱いているという設定。第８話では、真空と浅黄が「恋仲」にあると思い悩んだ太陽が、心にモヤモヤを抱え「最強のトリオ」に亀裂が入りかけるという展開だったが、なんのことはない。真空と浅黄は太陽の誕生日のサプライズのために「二人羽織」の練習をしていただけというオチがつく。

　まあ、一般的に「仲良し３人組」は、いつしか一対二の関係になってしまうのは世の常だけに、太陽の誤解ももっともで、「お願いです。３人でいたいんです」と告白する太陽の気持ちはよく分かる。

　しかし、それを聞いた真空が「なんだそれ。そんな程度の関係なの？　私たち」とキレ気味に説教。「がっかりした。何それ。最強の３人と思ってたよ。君のこともさ、朔のこともさ、愛してるよ。大好きだよ」と目に涙を浮かべ「ばかやろー、そっちが何言ったってさ。離してなんかやんないんだよ、バカ太陽」と泣きながら太陽をハグ。それを聞いていた浅黄が二人をハグ。美しい展開となった。このあたりの高畑充希の演技が素晴らしいんだよなぁ。

　この「最強のトリオ」に何が起きるのか。なんだか嫌な展開が待っているような気もするが、刮目して待とう。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/