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このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【怪しい行商女と行きずりの性交】
O・J 65歳 岩手県在住
非常に奇妙な出来事だった。65歳の今になってもそう思う。
あれはかれこれ50年ほど前の話。キツネにつままれるというのは、まさしくこのことか、と思えるような体験をわたしはした。
わたしが生まれ、高校時代まで過ごしたところは山深い寒村だった。人口も少なく、1歩山道に入ると誰かに出会うということは滅多にない、ひなびたところだ。精霊や妖怪の伝説も残り、幼い頃は戒めの言葉として「悪いことをすると山姥に連れ去られっど」と脅されていた。
その日、わたしは一人で林の中を歩いていた。理由は分からない。うっそうと茂る葉の間から木漏れ日が降り注ぎ、時折わたしに気づいた鳥が羽ばたきをして飛び去っていく程度で、とても静かだったことはおぼえている。
しばらく辺りをながめながら歩いていると、道端でうずくまっている一人の女性を見つけた。かすりの着物ともんぺ姿。手ぬぐいでほおかむりをした老人風だ。かたわらには大きな荷物がおかれ、わたしは何気なく近づいて声をかけた。
「どうしました」
その声に女性は顔をあげる。その顔を見て、わたしは驚いてしまう。てっきり老婆だと思っていた彼女は、しわもなく、目もともはっきりした妙齢の女性だった。
「足を痛めてしまって」
彼女はいう。
「では、この荷物をボクが運びましょう」
わたしは動揺をかくしていう。
「いいんでですか」
「大丈夫です」
そういうと、わたしは彼女の荷物をかかえた。
村には時々、峠を越えて、行商人が魚や肉、町でつくられた道具類を売りに来た。野菜や米は自給自足だが、スーパーはもちろん、よろず屋が一軒しかなかった村ではありがたい存在だ。しかし、その誰もが、老婆か生活苦のにじみ出た中年女だった。
わたしは思い荷物を背負ってゆっくり歩く。彼女もわたしのあとを無言でついてきた。ある程度歩くと林も途切れ、村が見渡せる場所までたどり着く。
「もう、ここでいいです」
彼女は突然いった。
「すぐそこですよ」
「いいんです。ありがとうございました」
そういって彼女は、ほおかむりをとる。その表情があらわになったとき、わたしは声を失い、まじまじと彼女の顔を見つめてしまったのである。
いままで見てきた行商人にはない、気品と華麗さに彼女は満ちあふれていた。色は抜けるように白く、目尻の吊りあがったひとみは涼しく、髪の毛も黒々として素直に長い。それに、林の中では気づかなかったが、着物の胸もとも大きく盛りあがっている。
年のころなら40前後といったところか。高校1年のわたしにとっては十分年上で、おばさんの範疇に入る。が、それでもきれいな人だと思う。何かわけありで行商女に身をやつしているといった、容姿と風貌だ。
そんな彼女が妖しく笑ってたたずんでいる。
「本当にありがとうございました」
「足はいいんですか?」
「はい、もう、すっかり」
わたしは荷物をおろす。すると彼女は宙に浮いたような足取りで、わたしの目の前に立った。
「お礼がしたいんですけど」
わたしは、間近で話す彼女にドキドキしながら答える。
「い、いいです……」
「いえ、わたしの気がすみませんから」
そういって彼女はわたしの手を取り、道からはずれた場所に連れて行こうとする。
「どこへ?」
「いいから」
荷物はおかれたまま。わたしと彼女は草むらをかき分け、道からずいぶんと離れてしまった。
こんな場所があったのだろうか。15年も村に住んでいて、まったく気づかなかった空き地が雑草に囲まれ広がっている。空き地といえども芝生状に背の低い草の茂る、人一人が寝転ぶことしかできない場所だ。
彼女はわたしの手を取ったままその場に座る。わたしは引っ張られるまま、彼女の横に腰をおろした。
「本当に助かりました」
「いえ」
「でも、わたしにはおカネも値打ちのある品物もありません」
「だから、お気づかいなく」
「ただ、自慢できるものといえば」
彼女はそういって、いきなり着物のえりをひろげた。
「あ」
わたしは一言発しただけで、何もいうことができなくなる。その胸乳はこんもりと形良く盛りあがり、乳首の色も薄い。
「きれいですか? わたしの胸」
「はい」
「いいんですよ、触っても」
「でも」
「ほら、遠慮なさらないで」
彼女はわたしの手を自分の乳房にいざなう。やわらかく豊満で、艶やかな肌触り。
「いいんですよ、舐めても」
「で、でも」
「いいんですよ、お願い、吸ってください」
彼女の声がうわずる。表情も妖艶にゆがみはじめる。
わたしは顔を押し当て、吸い付いた。母親のおっぱいを吸って以来のことだ。舌で乳首を転がし、手のひらで乳房をわしづかみにする。
「ああ、気持ちいい、あん」
彼女は切なく、か細い声をあげる。
「さあ、わたしがもっと気持ちよくさせてあげます」
さんざん胸乳を吸い、舐らせたあと、彼女はいった。
「な、なにをするんですか?」
「わたしに任せておきなさい」
彼女はわたしをあお向けに寝かせ、ズボンと下着をおろした。わたしの部分は、すでに隆々といきり立っている。
「すてき」
ポツリとそうつぶやくと、彼女はいきなりわたしをほお張ったのだった。
「あ」
ぬるみと体温、絡みつく舌のうごめき。わたしは我慢ができず、すぐに彼女の口にほとばしりを放った。けれど彼女は精液を飲み込むと、ふたたびわたしを舐め、しゃぶる。
「あ、あ、あ」
「また、固くなってきた」
彼女はそういうともんぺを脱いで、着物も脱いだ。下着は着けてなく、全裸の肢体でわたしに覆いかぶさってくる。
「い、いいですよね、わたしの中に挿れても」
「で、でも」
「我慢できないんです。挿れます、挿れますよ」
いまにも泣き出しそうな表情で、彼女はいう。そしてわたしの真上にまたがると、自分で中へ導いていった。
「あ、くぅ……、と、届く……」
うごめく膣襞と、窮屈な締まり。彼女は舌なめずりをしながら自分で乳房を揉み、喘ぎ、悶えた。
舞うたびにタプタプと両の乳肉が揺れ、わたしの突き刺さった部分からは蜜があふれてしぶきとなる。
「ああああん、いい、こんなの、あああん、気がイキそう!」
遠くまでひびきわたりそうなほど、彼女は声をあげた。わたしは、その淫らな姿を見つめ、まとわりつく粘膜と愛液の感触を受け、肉の締めつけを感じながら、彼女の中にそのまま放出したのであった。
「ありがとございました」
そういって身づくろいを整えた彼女は、荷物をかついで、もと来た方向に帰っていく。
「え? 逆……」
わたしは呼び止めようと思ったが、すでに彼女の姿は林の中に消えていた。
その女の正体が一体何物だったのか、今でもわからない。そして、わたしは得体の知れないものに、童貞を奪われた。決して後悔はしていない。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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