【山之上彼方プロフィール】

陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。

「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」

1月12日、こんなニュースが飛び込んできました。

ＳＮＳで知り合った男性から精子の提供を受けて出産した女性が、その男性に損害賠償を求める訴えを起こしたという内容です。

女性はＳＮＳで、学歴や国籍などの条件を絞り、相手を募集。性交渉により精子提供を受けたのですが、妊娠したのちに相手が国籍・学歴・配偶者等の有無についてウソをついえいたことが発覚したといいます。

なんと、ＳＮＳで精子のやり取りをする時代になったのか、と驚きました。ツイッターで「精子提供」と検索すると、具体的な紹介が書かれたツイートも出てきます。

精子提供といえば、アメリカでこんな有名な精子バンクがあったのをご存じでしょうか。1980年、天才ばかりを作る目的で設立された｢レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス｣です。

設立者のロバート・Ｋ・グラハムは、優生思想にどっぷり嵌っており、科学者、政治家、華々しい家系や恵まれたルックス、突出した才能を持った男性だけを厳選し、ドナーに迎えました。

すると批判は多かったですが、予約も殺到。しかも1982年には、本当に利用者からドロン・ブレイクというIQ180の天才が誕生したのです！　彼を広告塔にし、レポジトリーは大評判となりました。

しかしそうなると「供給」が間に合わなくなっていくのは、ある意味当然のこと。グラハムは極秘でドナーの条件を落とし、管理もずさんになっていき、1999年にレポジトリーは閉鎖したのでした。

ちなみにドロン・ブレイクは、メディアに露出したせいでいじめに遭い、辛い思春期を送ることに。卒業後は小学校の先生という平凡な道を選んでいます。

しかし、今でも精子ビジネスはどんどん拡大しています。オランダでは、ある男性が精子提供の結果200人の父親になっていることが発覚し、こちらもニュースになっていました。

1980年、ロバート・Ｋ・グラハムが「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス｣を立ち上げ「このような精子バンクが世界中に出てくるだろう」と豪語したとき、世間は彼を「恐ろしい夢想家」と相手にしませんでした。たった40年前の話です。

それが現実になり、もはや個人でのやりとりまで一般化する時代。その「命の価値観の変化の速さ」におののき、さらに40年先どうなっているのか、少し怖くなってしまうのです。