2021年12月18日、25日に前後編でオンエアされた『風の向こうへ駆け抜けろ』（NHK）が、ものすごく面白かったので、記録しておきたいと思う。

　主演は平手友梨奈。言わずと知れた元欅坂46不動のセンターだった女優さんだ。彼女が、今年話題になった『ドラゴン桜』（TBS系）に続いて大きな役柄をつかんだ。

　平手が演じたのは芦原瑞穂というデビュー3年目の女性騎手。デビュー当時は女性ということでチヤホヤされたが、3年目に入って1勝もできずに崖っぷちの状況。ある日、地方競馬への転向を勧められ、なかば「厄介払い」的な状態で緑川厩舎に移籍する。やる気のない調教師や融通の効かない厩務員たちのなかにいきなり放り込まれた瑞穂だが、やはり成績は上がらず苦しい状況に置かれる。そんななか、地方競馬を牛耳る馬主に「オレの言うことをきけば、中央競馬に戻してやる」と関係を迫られるが、瑞穂は馬主を一本背負いで投げ飛ばしてしまう。ここは見ていてスカッとするところだが、その代償は大きかった。馬主はこのことをきっかけに緑川厩舎から預けてある馬を全て引き上げてしまう。窮地に立たされる緑川厩舎。

　しかし、あきらめない瑞穂の姿勢に心を動かされた調教師（実は実力のあった中央競馬の元ジョッキー）は、自分たちで新たな馬を探し始める。そこで、見つけたのが、前の厩舎で虐待され傷ついた「魚の目」をした癖のある馬。

「フィッシュアイズ」と名付けられたその馬と瑞穂が心を通わせた時、「奇跡」が始まる。瑞穂とフィッシュアイズは、地方競馬で連戦連勝。ついに、桜花賞に出場するまでに勝ち続けるのだ。

　いやあ、見ていて気持ちいい。瑞穂の、いや、平手友梨奈の馬に対する純粋な気持ちが厩舎のメンバーの心を動かしたように、見ている者の心も動かされる。この役に平手友梨奈はピッタリだ。だいたい、ジョッキー役をこなせるほど、馬をこんなに上手に乗りこなせるなんて、平手友梨奈は大した女優さんだと思う。こんなに乗馬が得意なら、時代劇のオファーが来ても充分対応できるかもしれない。

　後編放映の翌日行われた有馬記念の中継で、ゲストの鈴木康弘氏が、このドラマを評して「地方から中央のG1を勝とうということで、新人の女性騎手と馬のドラマなんですね。（略）ドラマ終わりまして、夢と希望と勇気を僕自身クリスマスのプレゼントとしてもらったなという感じを受けました」という素敵なコメントを出していたのが印象に残った。

　まさにその通り。平手友梨奈、いいドラマに巡り合ってよかったね。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/