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『日本沈没』といえば、SF作家の小松左京が1973年に発表した作品。文字通り日本列島が沈没してしまうという未曾有の事態を想定した小説で、上下巻385万部を売り上げ大ベストセラーとなった。同年、映画化されたほか、翌年にはテレビドラマにもなり、これまた人気を集めた。
この作品が今クールに映像化。連続テレビドラマとしては二度目のお目見えとなっているのが、TBS日曜劇場『日本沈没〜希望のひと』。主演は小栗旬。原作には出てこない環境省の官僚・天海啓示(小栗)が主人公となっている。いや、地球物理学の異端児・田所雄介(香川照之)以外の登場人物はオリジナルキャラで、ストーリーもすべて刷新され、まったく新しい『日本沈没』の物語が描かれている。
時代設定は2023年。各省庁の次代を担う精鋭たちを招集した「日本未来推進会議」に環境省代表として参加する天海は、関東沈没を唱える日本地球物理学界の異端児・田所博士に接触。当初は暴論と退けようとした関東沈没論が真理であることに気づいて、対策を立てようと奔走する。
しかし、真実に気づかない、あるいは気づいていても「そのような事態が来ない方が好都合」と考える人々によって、事態は隠蔽されようとしてしまう。
まあ、現実的にはそうだろう。現実になってもらっては困る不都合な真理を「異端の暴論」として隠蔽するのが官僚。小栗旬のような官僚は現実的には稀で、ドラマの設定上の日本では、ただ関東沈没→日本沈没という事態を手をこまねいて見ているだけしかできないだろう。
ところが、このドラマには天海がいる。「希望のひと」というサブタイトルにもあるように、未曾有の事態を前にして、官僚たちは国民の命を守るために動き始めることになるのだろう。いや、まったく、想像の域を出ないが、そうでなければ「希望」などという単語は使わないのではないかと思う。
ここまで書いてきて、このドラマの関東沈没という事態は現実の原発事故に似ているのではないかと思い至った。日本沈没は原発事故のメタファー? かもしれない。日本沈没という事態になれば、原発問題が避けては通れないはずだが、そこは誤魔化すに違いないものと思われる。で、具体的には原発問題を避けながら、全体としては原発批判というような内容になってしまうのではないか。まったく、的外れなことを言ってるのかもしれないが、今はそう思う、ということ。
いずれにしても、先の展開が楽しみなドラマだ。
- (文)久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
- (編集)スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/
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