学生時代、仄かな恋愛感情を持っていた二人が15年後に再会。殺人事件の重要参考人となる女実業家と事件を追う刑事として……。

　TBSの金曜ドラマ『最愛』が、ドラマ好きの間で評判を呼んでいる。主人公の女実業家・真田梨央を演じるのは吉高由里子。刑事・宮崎大輝を演じるのは松下洸平。この二人に、全力で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎を演じる井浦新が絡んでくる。

　ドラマは15年前に陸上部の寮で起きた事件と現在進行形の殺人事件の様子が交互に描かれ、毎回少しづつ真相が明らかになっていくという体裁を取っている。

　梨央自身、記憶が曖昧で本当の犯人なのかどうかは本人にも視聴者にも分からない。その上、ドラマが進んでいくにつれて、登場人物一人一人が、なにやら怪しい背景を持っていることが分かってきて、真剣に見れば見るほど何が何やらわけが分からなくなってくるというというのが、このドラマを見る醍醐味のひとつ。ただ、真相が少しづつ明らかになっていくことは確かで、明らかになったことが、毎回、ある種の快感を生んでいくことも確かだ。

　最大の謎はタイトルの『最愛』。これは素直にとれば、梨央と大輝の関係のことを言っているに違いないのだが、登場人物それぞれに「最愛」の人がおり、その最愛の人を守るための行動がそれぞれの人物の動きの動機だとすれば、話はより複雑になっていく。おそらく、最終回までには「最愛」の意味は明らかにされるのだろうが、タイトルがある種の「ひっかけ」になっているのかもしれないと考えると、なかなか奥深い。

　本作は、原作なしのオリジナルドラマ。それだけに、製作者の自由度も高く、好き勝手な展開に持っていける強みがある。実際のところ、今後の展開が全く読めないドラマに仕上がっていると思う。

　それにしても、やり手の女実業家であり、ミステリアスで、ある種、無邪気な面を持つ梨央という人物は吉高由里子にピッタリ。彼女はまた一つ自らの「ハマり役」を見つけたようだ。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/