Catch Up
キャッチアップ

この官能小説は、現在50代から60代の方々の若かりし時代を舞台背景にしています。貧しかったけれど希望に満ち溢れていたあの頃、そこには切なくも妖しい男と女の物語が今よりも数多く存在しました。人と人とが巡り合う一瞬の奇跡、そこから紡がれる摩訶不思議な性の世界をお楽しみください。 編集長
【東京から流れてきた女】長月猛夫
女の名前は尚子。東京から流れてきた。そのころ長岡は22歳。県下の大学を卒業して、故郷に戻ってきたばかりだ。
長岡の生まれ育った土地は、山深いひなびたところだった。生家は村の庄屋の家筋に当たる。
5人兄弟の長男で、跡を継ぐことは決まっていた。そのうえ、すでに許嫁もいた。村の人間は長岡を坊ちゃん坊ちゃんと呼び、何不自由ない生活を送っていた。
尚子は、涼しい目もとにおちょぼ口をした女だった。年齢は30代半ば。驚くほどの美人というわけではないが、あかの抜けた、そそる色気を持つ女だった。
尚子は、わけあって村の親戚を頼ってきたようだった。村の連中は、村に不釣り合いな尚子に対して、あれやこれやとうわさを流す。
「あれは、東京のバーで働いていた水商売の玄人だ」
「いや、赤線で身体を売ってた女だ」
「どのみち男で身を持ち崩した女に違いない」
たしかに尚子は、そんなうわさが立てられてもおかしくない容姿をしていた。
パーマのかかった長い髪を、たばねもせずに垂らしている。化粧は濃く、口紅は赤く、着ているものも村の女たちとは違った。
身体の線がはっきりわかる薄手の衣装に、風が吹けばヒラヒラと舞いあがってしまいそうなほど短いスカートをはいている。
むき出しの白くて細くて長い脚。そして、恥ずかしげもなくこんもりと盛り上がった乳のふくらみ。
村で一番裕福な家で育ち、ほしいものはなんでもあたえられてきた長岡は、尚子が気になって仕方がなかった。村の女とはまったく異なる、淫靡で妖しい雰囲気に当てられてしまったのである。
「ああ、あんな女と1発やりたい」
若かった長岡は、毎日のようにそう考えるようになっていた。
暑い夏が終わり、稲穂がうっすらと黄色に色づくころ。長岡は用事で田圃のあぜ道を歩いていた。
綿あめをちぎったような雲が空に漂い、陽の光もやわらいでいる。草むらからは、チロチロと虫の鳴き声が聞こえる。
爽快という言葉にふさわしい空気の中、長岡は少し遠まわりがしたくなり、帰り道の途中にある鎮守の境内に入っていった。
そこに尚子はいた。
尚子は社殿の縁側に腰をかけ、脚をぶらぶらさせていた。空をあおぎ、立ち並ぶ樹々の木漏れ日を浴びている。
長岡は、魅入られるように尚子を見つめた。しかし尚子は長岡を見つけると、険しい表情で立ち去ろうとする。
「ま、待て」
長岡はいった。
「どうして逃げる」
「逃げなくていいの?」
尚子は小首をかしげ、鈴の転がるような声でいった。
「どうして逃げる必要がある」
「だって、村の人はみんないってるよ。アタシは淫売のスケベな女。アタシと一緒にいたら色気に惑わされるって」
長岡はゆっくりと尚子の側に寄っていった。
「連中、そんなこといってるのか」
「うん、おかしいよね、東京だったらアタシみたいな女、当たり前なのに」
長岡は尚子と向かいあい、どきどきしている自分を知る。だが、村の惣領の息子だという威厳だけは保っておかなければならない。
「あんた、あのお屋敷のお坊ちゃんね」
「坊ちゃんじゃない、もう大人だ」
「いくつ?」
「22だ」
「へえ、見えないね。もっと若く見える」
尚子は、薄い笑みを浮かべた。
それから尚子から、長岡に東京という街の様子を語った。
東京は、とにかく人が多くて、歩くのにも苦労すること。ビルが立ち並び、自動車が何台も行きかっていること。
街中では、ごく普通の女も尚子と同じような格好をし、男と女がアベックで歩いていても、だれも見とがめないし変なうわさも立てないこと。
「もうすぐ、オリンピックはじまるでしょ。高速道路が出来て、空にクルマが走るの」
「クルマが空を飛ぶのか?」
「違うわよ。コンクリートの柱を立てて、その上に道路ができるの」
「危ないことはないのか?」
「最新の技術でできているから、地震がきても平気らしいわ」
尚子は両手の指を組んで腕を伸ばし、背伸びをする。半そでの空間から、白い腋がかいま見える。
「やっぱり田舎はダメ。もう一度、東京に戻りたい」
「なんで戻らない」
「教えてほしい?」
尚子は少しほほ笑んで長岡を見る。
「おカネがいるの」
「借金か?」
「うーん、まあ、そんなとこ」
「いくら」
「子どもには関係ないわ」
「子どもと違うっていってるだろ」
「違うんだったら、どれくらいのおカネ動かせるの?」
尚子は長岡を小バカにしたような顔でいう。
「どれだけ用意すれば、オレを大人と認める」
「うーん、そうね」
尚子は金額をいった。しかし長岡にとっては驚くほどでも、用意できない額でもない。
「よし、オレが用意する」
「え?」
「そんなはした金くらい、耳そろえて持ってきてやる。あした、この時間にここで待っとけ」
長岡は、そう言い残して神社から駆けだした。
次の日、長岡は尚子のいった金額を持ってきた。
「ウソ」
そういいながらも尚子の目は輝いている。
「どうや、これでオレが大人っていうことがわかったか」
「うん」
尚子は大事そうに札をポケットに押し込む。
「お礼、しなくちゃね」
そういうと、尚子は長岡を神社の裏手に誘った。
社殿の裏手には青年団の寄り合い所があり、いつでもだれでも入れるようにカギはかかっていない。尚子はそこに長岡を連れ込み、床の上に座らせる。
「なにもしなくていいのよ。黙ってまかせて」
そう告げると、尚子は長岡のズボンに手をかける。
「なにを……」
「いいから」
ズボンを脱がし、長岡の下半身をむき出しにする。そして尚子は、長岡の一物に手をそえ、前屈みになってしゃぶりはじめた。
「おお、おお!」
長岡は、思わず声をあげてしまった。
「口でされるの、初めて?」
尚子の問いかけに、長岡は黙ってうなずく。
「ふふふ、カワイイ」
舌を伸ばし、茎の全体をなぞり、裏筋やカリ首をぴちゃぴちゃと舐める。窓から差し込む昼間の明かりが、尚子の淫猥な表情をはっきると浮かびあがらせる。
「ふふうん、うん、あん」
艶っぽい吐息を漏らし、長岡にむしゃぶりつく尚子。長岡の肉棒は、すぐに屹立を果たした。
「ダメ、ダメだ」
「なにがダメなの?」
「出てしまう」
「いいよ、出して。飲んであげる」
許嫁の娘には指1本触れていないが、高校生のときから下働きの小娘や山向こうの未亡人など、色んな女を抱いてきた。盆踊りや秋祭りの日は、闇にまぎれ、草むらで村の娘を押し倒したこともある。
ただ、相手が長岡の家の息子だとわかると、だれも文句をいってこない。
大学生のときも、カネにものをいわせて若い女を抱いた。しかし、どの女も長岡を迎え入れるだけ。尚子のように、積極的に男を歓ばせることはしない。
男の部分をしゃぶり、吐き出す汁を飲み干すことなどなかった。
「ああ、出る」
「出して、口の中に出して」
尚子のうわずった声と、巧みな動きに導かれ、長岡はそのまま吐き出した。
「う、うん……」
尚子は長岡を咥えたまま、前後に揺らいでいた動きを止める。やがてゆっくり抜き取ると、のどを鳴らしてたまった精液を飲み込んだ。
「おいしい……」
艶美にほほ笑む尚子。長岡は、その表情を見つめてしまう。
「まだ、できるよね」
「え?」
「今度はアタシを気持ちよくして」
尚子は立ちあがり、するすると着ているものを脱いだ。
「あ……」
長岡は思わず声をあげてしまった。
向こうが透けて見えそうな白い肌、キュッと締まった腰に張り出した尻、ムチムチした太もも、脇からはみ出そうなほど実った胸乳。
「好きにしていいのよ、好きなようにして」
長岡に抱きついた尚子は唇を重ね、舌を吸う。
「ほら、触っていいのよ、揉んで」
尚子は長岡の手を胸に誘う。張りのあるやわらかな感触に、しぼみはじめていた男根が、ふたたび膨張する。
「ふふふ、大きくなってきた。すごい」
尚子はつぶやきながら長岡をつかんでこすった。
「これがアタシの中に入るのね。楽しみ」
長岡は乳房を揉みながら、股間に伝わる指の冷たさを感じていた。そして尚子は、長岡の服を脱がす。
「もっと、力入れてもいいのよ。揉みながら吸って」
長岡はうなずき、しゃぶりつく。小さな乳首が舌の上で転がる。
「ああん、気持ちいい、うん、いい感じ」
表情をゆがませ、眉根にしわを寄せ、尚子は喘ぐ。長岡は極度の興奮をおぼえ、尚子を押し倒し、乱暴に突き入れようとした。
「あん、いやん……」
尚子は軽い抵抗を示す。けれど、秘部は十分に濡れていて、長岡はすんなりと中に納めることができた。
「いやん、あん、大きくて固い!」
思うがままに腰を打ちつける。尚子は艶美な表情で悶える。尚子の内部は熱く潤い、蠢く肉襞で締めつけてくる。
「どう、アタシはどう?」
「いい気持ちだ、気持ちいい」
「うれしい」
尚子は自分からも腰を打ちつけてきた。膣内ウネウネと蠢き、奥と中ほどと入り口で圧迫する。その感触が長岡のくびれと合わさり、妙な刺激となって攻めてくる。
「ああ、ああ、いやん、あうん、ああ、いい、気持ちいい!」
尚子ははばかることなく絶叫する。よがり声が狭い小屋の中でひびきわたり、周囲の空気を甘く彩る。
長岡は限界をおぼえ、尚子の中に吐き出した。
「あん……!」
尚子は軽く痙攣しながら、長岡の精子を受けとめる。
「気持ちよかった」
ぼんやりとした表情で、そう口にする尚子。
「なあ」
虚ろな表情の尚子に、長岡はいった。
「これからも会えないか」
「いいの? アタシみたいな女で」
「ああ」
尚子は長岡の首に腕をまわし、唇に吸いついた。
それから長岡は尚子に溺れた。狭い村のことなので、人目を忍んでの逢瀬だった。しかし噂がひろまり、長岡は父親に詰問されたこともあった。
その場はうまくごまかしたが、一度味わってしまった尚子の美肉を忘れることはできない。そのために、長岡は1時間ほど離れた町へ行き、連れ込み宿で尚子と会うようになった。
「ねえ、アタシと東京に行かない?」
ある日、尚子はいった。
「あなた、こんなところで終わる男と違う。そう思わない」
「だけど……」
長岡は躊躇してしまう。
「アタシと東京で暮らそうよ。不自由はさせないから」
「けど」
「こんな田舎に未練があるの?」
「それは、跡取りだし」
「しょせんド田舎の百姓の親方じゃない。都会は違うよ。すごく刺激的で毎日がお祭りみたい。夜になっても明るくて、遊ぶところも山ほどある」
「そ、そうか」
「ねえ、アタシと一緒に東京にいこ。ね、お願い」
尚子は潤んだ目で長岡を見る。
卒業した大学は県の中心の都市にあったが、しょせんは地方の県庁所在地だ。尚子から聞く東京とは雲泥の差がある。そして村には、それこそ遊ぶ場所もない。
あと数年もすれば、許婚の女と所帯を持つことになる。跡取りといえども、父親が生きている間は言いなりだし、財産は自由にならない。不自由はないがカゴの鳥には違いない。
敷かれたレールの上を、何も疑わずに歩いていく。安心で安全で失うものもないだろうが、得るものも少ない。坊やから若旦那、やがて旦那さんと呼称は変わっても、何も変わらない刺激のない日々を過ごさなければならない。
いや、失うものが一つある。尚子だ。
「こんな田舎で朽ち果てていいの?」
畳かけるように尚子はいう。長岡は決心した。
その日のうちに準備を済ませ、父親のカネをくすねてバスに乗り、電車に飛び乗る。もちろん、尚子も一緒だ。
だが、尚子は東京に不義理があって逃げていた。それを精算するために、長岡の渡したカネはもちろん、持参したぶんも瞬く間に使い果たしてしまった。
それでも1ヶ月程度は幸せだった。尚子はやさしいし、毎晩、食事も忘れて抱き合った。尚子の身体に飽きることはなく、長岡は夢中になっていた。
しかし、元来が淫乱な尚子だ。村と違い、誘えばついてくる男はいくらでもいる。そして、それがカネになる。
ある日突然、置手紙もなく、尚子は長岡の前から姿を消した。
長岡のもとに警察が訪れたのは、その数日後だった。田舎の両親が捜査願いを出していたのだ。
長岡は村に戻った。両親と兄弟は、何事もなかったように出迎えてくれる。ただ、村の連中の視線は冷ややかだった。
やがて年が変わり、長岡の結婚が決まった。独身最後の日、長岡は尚子と出会った神社を訪ねる。
「ひどい目にあったけど、いい女だったよな」
尚子の表情を思い浮かべ、長岡はそっとつぶやいた。
- 【長月猛夫プロフィール】
- 1988年官能小説誌への投稿でデビュー。1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作。主な著作『ひとみ煌きの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)/『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)/『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)ほか。
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