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キャッチアップ
このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【勇気凛凛「死ぬこと以外はかすり傷」の巻】
人は様々な経験を経て、強くなる――。特に今の70代以上は、終戦、高度成長期、バブル崩壊などなど、数多のカオスを乗り越え生き延びているツワモノである。特に関西は、地域的に「声が大きい、金銭感情が細かい、言葉づかいが常に喧嘩ごし」と刺激的な条件もいくつかプラスされる。そこでガッハッハと風を切り生活する関西シニアは、メンタル的にも鋼のように鍛えられているのだ。
そして、それを実証するような、ある出来事をオカンから聞いた。私は、その話に大きな勇気をもらった。書かねば! と今興奮してキーボードを叩いている。
コロナ禍で、近所にスーパーに行く回数をかなり減らしていたオカンが、久々に行ったところ、ババ仲間Aさんと遭遇。適度なソーシャルディスタンスを取りつつ
「きゃー、久しぶり。生きてた!?」
と喜びを分かち合ったそうだ。お互い80越え。「生きてた!?」という挨拶は、私たち中年が冗談で言うそれと全然違う重みを放っている。
「自粛長いねえ。Aさん元気だった?」
とオカンが聞くと、Aさん、太陽のような笑顔でこう答えたという。
「道で転んで肋骨折ったけど、全然元気~」
ぜっ全然元気ちゃうやん! 負傷してるやん!! オカンがびっくりして詳細を聞くと、マンションの外でコケて体を強打。近くにいたカップルの男性にしがみつき、引きずられるように病院に行ったという。ここで敢えて男性のほうにしがみつくというあたり、さすが関西シニアである。見事。
「気を付けんとアカンねえ。足元気を付けな今度は足折るわ~あっはっは!」
Aさんはそう大笑いし「あかんわー笑ても痛いわ~」と肋骨を押さえつつ、去っていったのだそうだ。
そして、オカンがスーパーで買い物を終え、出口に向かうと、今度は10歳年下のババ仲間Bさんに遭遇。
「きゃー、久しぶり。Bさん元気だった?」
とオカンが聞くと、Bさんはひまわりのような笑顔でこう答えたという。
「ダンナに首絞められて死にかけたけど、全然元気~」
ぜぜぜ全然元気ちゃうやん! オカンはビックリし過ぎて、詳細を聞けなかったという。
結局「全部コロナが悪いねん」でまとめ、
「コロナ落ち着いたら、オシャレしてご飯行こなー」
と約束をしたのだそうだ。
人生いろいろ。男もいろいろ。女だっていろいろ。
それを全て笑い飛ばし「全然元気~」で締めくくるシニア。最高に強いぞ、かっこいいぞ!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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