このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【勇気凛凛「死ぬこと以外はかすり傷」の巻】

「決めつけ」とは人としてやってはいけないことランキングで上位に入るであろう、偏った考え方である。

　しかし、年を重ねるごとにどうしても「多くの経験を積んできたので見る目は養われている」という驕りがでてくるため、この傾向が強くなる。関西シニアの口癖には「決まってるやん」という恐ろしいワードがあるほどだ。

　そして彼らは、この一言を繰り出すことで、想像でも、現実に起こったこととして脳が処理するのである。

　さきほど、まさにその「決まってるやん」事件があった。家の掃除機が壊れ、オカンが近所の家電量販店に赴いたのであるが、応対してくれたスタッフがなんと、新田真剣佑クリソツのハンサムだったという。

　イケメンと言わず「ハンサム」というあたりに年齢を感じるが、サラッと「新田真剣佑」という名前が出てくるのはなかなか。オカンの情報収集能力の高さが伺える。しかし問題はその次である。

「そのスタッフくんに『ハンサムねえ』って言おうとしたんやけどやめた」

　と言う。褒め言葉なんだから言えばいいのに。なぜ言うのをやめたのか聞くと、なんと

「『そうでしょう、よく言われるんですよ』って言うに決まってるやん」。

　な、なんで決まってるの？？　　　

「ああいう顔の子は、そう言うに決まってるやん～」

　決まってないやろ～（汗）！！　最近の子は謙虚やで！

　とにかく、「それ、どっかで法律として制定されたっけ？」とツッコミたくなるほど自信満々に「決まってるやん」と言う。

「そんな服着ていったら笑われるに決まってるやん」

「深夜にコンビニ？　ひったくりに遭うに決まってるやん」

「そんなん買うても、役に立たへんに決まってるやん」

　決まってないやろ～（怒）！　うががががが！！

　この「決まってるやん」攻撃に「決まってないよ！」とムキになっても、関西シニアはへッと笑って無視するだけ。そこで次の対抗策がおススメだ。

「いつ決まったんですかーッ！　何時何分何秒どこでッ」

　多少大人げないとは思うが、これは効く。

　効きすぎて「うるさい！」と逆ギレされる確率も高いが……。

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。