『知ってるワイフ』（フジテレビ系）は、関ジャニ∞の大倉忠義と広瀬姉妹の姉・広瀬アリスがヒーロー、ヒロインを演じる連続ドラマ。原作が韓国の人気ドラマということで、韓流テイストが感じられる作品だ。

　番組ホームページによれば、本作は、「結婚生活、こんなはずじゃなかった！あの頃に戻って人生をやり直したい！」と日々嘆く恐妻家の主人公が、ある日突然過去にタイムスリップして、妻を入れ替えてしまうところから始まる物語……とのこと。

　結婚生活5年目、相手への気遣いができなくなり、妻の罵声に怯える主人公・剣崎元春（大倉忠義）は、街中で奇妙な男に「過去に戻ることができる」と告げられ、10年前にタイムワープする。「人生をやりなおそう」と考えた剣崎は、妻・澪（広瀬アリス）と知り合うきっかけとなった事件（澪が落とした財布を本人に届ける）をやり過ごし、後輩の江川沙也佳（瀧本美織）とのデートに向かう。

　剣崎は妻を取り替えることに成功。沙也佳は巨大企業・西急グループの令嬢。剣崎は美しく新しい妻と超豪華な邸宅、高級車で通勤する優雅な日々を手に入れ、人生をやり直すことになるのだ。

　ところが、ある日、澪が銀行の同僚として剣崎の前に登場する。もちろん、「もう一つの世界」で剣崎と夫婦であったことなど知る由もない。同僚の津山千晴（松下洸平）と澪は「いい関係」になりそうになる。表面上は「二人を応援する」と言いながら、激しく動揺する剣崎。沙也佳との新しい生活に不満はないが、澪のことも放ってはおけないのだ。

　ドラマとしちゃあ面白いが、見ている方は剣崎の態度にイラつく。「お前、人生変えたんなら、今の妻を大事にせんかい。いつまでも、元妻に執心するなど自分勝手すぎるぞ」と、どうしても考えてしまうのだ。

　まあ、どうせ、剣崎は澪の大切さに気がついて、ジ・エンドとなるのだろうが、そんな展開だと、妻・沙也佳も澪に惚れている同僚の津山も浮かばれないではないか。

　松下洸平は『リモラブ』では、主人公の波瑠のハートを射止める相手役を見事に演じていたが、この作品では完全に「アテ馬」扱い。強欲な主人公の犠牲になってしまう予感がプンプン匂ってきて、可哀想になってくる。

　剣崎がいかに元妻を思おうとも、津山にこそ澪と一緒になってもらいたい……そう考えるのはなんでも手に入れてしまうイケメン主人公に対するやっかみか。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/