元SMAPのメンバーで、現在は「新しい地図」に所属する香取慎吾が5年ぶりに連ドラの主役を務める『アノニマス～警視庁“指殺人”対策室～』（テレビ東京系）が話題だ。

　アノニマスは「匿名」を意味し、SNSなどに氾濫する誹謗中傷の餌食となり、死に追いやられる被害者の根絶を目指して、警視庁内に新設されたという設定の架空の「指殺人対策室」を舞台に、顔の見えない「犯罪者」と戦う捜査官の活躍を描くドラマ。

　香取演じる万丞渉は元捜査一課の刑事。ある重大な事件で相棒を失い、「飛ばされる」形で指殺人対策室に異動。そのため、当初は「やる気が感じられない」ような登場の仕方をする。

　ドラマは、新人刑事役の碓氷咲良（関水渚）の視点で進行し、話が進んでいくにつれてツンデレな万丞のアツさと実力が分かっていくという構成になっている。

　なにしろ、ネット犯罪を扱う部署なのに、万丞は支給されたタブレットさえ使おうとしない。あくまで信じるのは、自分のメモ帳、そして刑事としてのカン、そして足を使っての捜査だ。

　とはいえ、パソコンによる捜査を軽視しているわけではない。同僚たちが、パソコンの操作によって絞り込んだ結果は、情報として有効に使う。「自分じゃ調べない」というだけの話だ。

　第一話では、ネットによる中傷で自殺したモデルに悪質な書き込みを行なった男性を特定し、男に情報提供していたのが、表面上は仲の良いモデル仲間だったことを突き止める。

　しかし、この情報がどこかから漏れてしまい、今度はそのモデル仲間が誹謗中傷の対象となってしまうという展開。もしかしたら、警察内部から情報が漏れているのか……。この先、万丞が相棒を失うに至った事件の真相や情報漏洩の謎についての話が展開されていくものだと思う。

　ユニークな視点の刑事ドラマの誕生を嬉しく思うと同時に、万丞渉という人物を肉付けするにあたって香取慎吾という役者は必要不可欠であったことだろうとも思う。

　香取慎吾がドラマの世界に戻ってきたことに、まずは、祝杯をあげよう。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/