【山之上彼方プロフィール】

陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。

【魔法使いは存在するのか】

11月2日、衝撃的なニュースが入ってきました。インド北部ウッタルプラデシュ州で、地元の医師に「アラジンと魔法のランプ」に登場する本物だと偽り、フツーのランプをおよそ700万ルピー（約980万円）で売りつけたとして、男2人が逮捕された……というものです。

　私が涙を禁じえなかったのは次の一文。

「医師は、ランプに魔法の力が一切ないことに気付いて警察に通報」（【翻訳編集】 AFPBB News）。

　気づくのが遅いよドクター……。そう思った方もいるかもしれません。が、これには深い理由があるのです。なんと詐欺団は、ランプから魔神・ジニーが登場する様子を医師に見せたとのこと。ジニーが出ちゃったんだから、信じてしまうのも無理はありません。

見たい……。私もその様子を見たい！　多分、ドライアイスは使ったことでしょう。もしかすると紙吹雪も使ったかもしれません。医師の注意をそらすため、クラッカーなんかも鳴らしていたかもしれません。ジニー役はきっと体中に緑色にペンキを塗りたくった小太りのオッサンだったのでしょう。

しかも詐欺団、ランプを持ち帰っていいかという医師の交渉に、一度は「（魔神・ジニーに）けがをさせるかもしれない」と一時は断ったそうです。なんと高度な心理テクニック。シナリオが完璧過ぎる！

私はこのニュースを読んだ後、医師が警察に通報するまでに、どこまで勇気がいたかと思うと、胸が押しつぶされそうになりました。

ワシはワシの被害をどう説明すればいいのか。「アラジンと魔法のランプ」のどのシーンが好きなのかも言わなければいけないのだろうか。そう迷ったことでしょう。

　私は、魔法使いや錬金術師など、驚くべき能力を持つ者は実在すると思っています。古くはソロモン王は悪魔を召喚したというし、『ハリーポッターと賢者の石』に名前が登場する錬金術師のニコラ・フラメルは、不老不死の力を手に入れたといいます。

が、どんな魔法使いも外見は人間であり、決してランプからは出てこない。煙が人の形になって喋ることはない。それは確信を持っています。

　ということで、今回なかなかファンタジーな内容でしたが、立派な詐欺。こんな不安な世の中ですから気が弱り「信じた者から救われそうなのでとりあえず信じておこう」と思いたいのはわかります。

でも、よく考えて下さい。信じたものしか救わないなんて、なんと度量の小さい話でしょう。本物の神や魔法使いなら、あらよおらよどっこいせと万人を救う努力をするはずです。

なので

「私はあなたと運命で結ばれた妖精ティンカーベル。悪い魔法使いに捕まってあなたのところにいけない……。100万円と実印とマイナンバーカードを持って助けにきて」。

　こんな電話を受けても、いそいそと用意して出かけないようにしましょう。