【山之上彼方プロフィール】

陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。

【酔っぱらいの呪い】

　みなさん、見ず知らずの人に「お前は死ぬ」と言われたことがありますか。

　私はあります。なんと２回も。しかも大勢の前で――。

　まさに、呪い系ホラー映画のようなシチュエーション。人間、生きていればいろいろあるものです。

　１回目は、忘れもしません。小学校４年生の塾の帰りのバスの中でした。塾仲間とキャッキャと勉学から解放された特有のテンションで騒いでおりましたら、一人の酔っぱらいが乗ってきたのです。

　ベロッベロです。もう、文字の如く、ベロッッッベロなのであります。なにやら世の中への不満も叫んでおりました。私たちは「ヤバいの乗ってきた」と目をそらしたのですが。

　あろうことかその酔っぱらい、千鳥足で器用に運行中のバスを歩いて近づいてきて、私をガッと指さしこう叫んだのです！

「お前はもうすぐ死ぬ」。

　いやもう怖い怖い！　怖すぎて氷細工のように固まる私。そんな中、こんなこと長年バスの運転手やってりゃ日常茶飯事とばかりに

「はいはいそこの人静かにしてくださいね。小さい子怯えてるからねー」

　素の声でアナウンスしてくれた初老の運転手さん。プロの仕事って本当に素晴らしい……。あの時は本当にありがとうございました。

　２回目は、３年後の中学２年生のとき。電車に乗っていると、別の車両から移動してきた、これまたベロッベロな酔っぱらいが、素通りすると思いきや、なぜか私の顔を見て、ギョッと目を見開き、

「お前はもうすぐ死ぬ！」

　こう叫んだのです！　ギャーッ！　小学校４年の記憶が甦り「えっ、これ似たようなこと前もあったよね？」とビックリ仰天。３年という時を経て、再び酔っぱらいに死ぬと言われるなど、そうそうない体験。こりゃもう確実。私、もうすぐ死ぬな……。覚悟したのは言うまでもありません。

　が、それから40年近く経った今もガッツリ生きております。バリバリ元気です。

　あれはなんだったのだろう？　霊能者さんに取材をする機会があったので、この経験を話したところ、次のように言われました。

「酔っぱらいは自分の正体を失っているから、いろんなものが取り憑きやすいのよ。従って、酔っぱらいの体を使って、なにかの霊が２度もあなたにからんだ可能性がありますね」

　霊能者さんはなぜか一番重要ポイントである「お前は死ぬ」という文言についての分析をすっ飛ばし、私は単に「２度も霊にからまれたスットコな人」と結論付けられてしまいました。

　まったく腑に落ちませんが、皆さんもお気を付けください。