Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【右往左往「想像で怒る」の巻】
関西シニアは少々のことでは驚かない。動じず、なんでもネタにしてガッハッハと笑い飛ばす――。
が、関西シニアとて人間。ビビるポイントはある。そして、そのボーダーを超えると、周りが驚くほど慌てる。コテコテの大阪弁とオーバーリアクションをフル発動させ、予想を超えたパニックを起こすので周りは大変だ。
先日、私が友人とランチを食しているとき、友人のオカン(85)から電話がかかってきた。友人はスピーカーに切り替えていないにも関わらず、オカンの声、私にまで丸聞こえ。舞台女優かと思うほどの滑舌の良さで
「アンタ! アンタ昨日夢に出てきたやろ」
「夢に出てきたやろ」。あまりにも斬新な問いかけに、私は箸が止まった。問いただされた友人も、夢への登場など覚えがあるはずがなく、
「知らん」
当然の一言を返す。すると友人のオカン、さらに音量を上げ、ヒステリックな声で
「お母さんな、アンタがトラックに轢かれた夢見たんやで! もうビックリしてビックリして。朝から気になってなんも手につかんし、確認しよ思て。ホンマに轢かれてへん?」
「ホンマに轢かれてへん?」。これまたあまりにも斬新な問いかけに、私は感動すら覚えた。轢かれてたら電話に出てへん。友人はそう答えたかったろうが、それ以上に「ここらで切り上げないと面倒」と思ったようだ。
「大丈夫大丈夫、ごめんな心配かけて」
そう言って、電話を切った。
しかしその後、ロダンの「考える人」のポーズで固まること10秒。やっと我に返り
「なんで私が謝らんといかんの」
と首をひねりまくっていた。
娘が心配なあまり暴走する親心。友人はその巻き込まれ事故に遭ったようなものなので、あながち友人が事故ったというオカンの夢は正夢になったといえるかもしれない。鶏が先か、卵が先かよくわからないが……。
私の母(80)も、以前、
「今日、百貨店で服を買おうとしてカードを出そうと思ったら、財布を忘れたことに気づいた。恥かいた。店員が、私のことボケ老人やと疑う目で見てた。腹立つ(泣)」
震える声で電話を掛けてきて、私は遠くを見るしかなかった。
考え過ぎや。落ち着け。想像怒りすな……。
怒りのボーダーラインを超えると、怒りをレーザービームのように飛ばしまくり、周りを混乱の渦に巻き込む、関西シニア。
かくいう私も思いっきり予備軍である。姪や甥を巻き込まないよう、気をつけたい。
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
この記事の画像
関連キーワード
Linkage
関連記事

-
【関西シニア通信】第13回:咬牙切歯「ギャグの濡れ衣を着せ…
-
【関西シニア通信】第12回:無限ループ「贈り物無限地獄」の巻
-
【関西シニア通信】第11回:重要課題「キャッシュレス大激論…
-
【関西シニア通信】第10回:取扱注意「俺が最初に見つけたん…
-
【関西シニア通信】第8回:脳の不思議「昨日の晩飯より遠い昔…
-
【関西シニア通信】第7回:超会話術「そうやねん」活用法の巻
-
【関西シニア通信】第6回:大検証「関西人はせっかちなのか」…
-
【関西シニア通信】第5回:問答無用「「粉もんこだわりからの…
-
【関西シニア通信】第4回:問答無用「自己アピールは無限大」…
-
【関西シニア通信】第3回:要注意事項「その女、繊細につき」…
-
あの週刊大衆が完全バックアップした全国の優良店を紹介するサイト
FANZA新着動画
特選素人娘マル秘動画
FANZA新着動画一覧 >>
