Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【縛りを求める淫乱妻】埼玉県在住Y・Sさん(51歳)
職業は配置薬の営業マン。つまり、事務所や家庭をまわって使ったぶんのクスリを補充し、料金を回収するのを仕事としている。
企業の事務所の場合、あまりおもしろい体験はないが、これが一般家庭だと、なかなかおいしい目にあうこともある。そのなかの一つを、これから記していきたい。
女の名前はM美といった。歳は40歳前後。脂の乗り切ったなかなかの美人だ。
ダンナは普通のサラリーマンで、子どもは中学生。平日の昼間はヒマを持てあます専業主婦のM美は、わたしが訪れると退屈しのぎに、あれやこれやとグチや悩みを打ち明けてきた。
「最近、ダンナの元気がないのよねぇ」
「じゃあ、栄養ドリンクを追加しときましょうか?」
「それもいいんだけど、もっと別のもの、ない?」
「別のものというと」
「はっきりというとね、アッチのほうがごぶさたなの」
「それはそれは」
「いろいろ試してみたのよ。でもね、毎日毎日、疲れてるの一点張り。たまに相手をしてもらっても、途中でなえちゃうの。失礼だと思わない?」
「こんなにキレイな奥さんを相手にして……。信じられないですね」
「あら、うれしいこといってくれるじゃない。だから、飲めばすぐに元気になって、しかも持続するって薬、ないかしら」
EDの治療薬は医者の処方箋が必要だ。それに最近は、医師か薬剤師でないと販売できないものも多い。
「残念ですけど、わたしが用意できるのは、栄養ドリンクくらいで……」
「なあんだ、残念。でもね、別にダンナが相手でなくてもいいのよ」
「え?」
「わたしを気持ちよくさせてくれれば、だれだって。たとえば……」
「たとえば?」
「あなたでも」
M美は媚を売るまなざしでわたしを見る。身体をよじってくねらせ、潤んだ目からいやらしいな視線を送ってくる。
「冗談はよしてくださいよ」
「あら、冗談なんかじゃないわ。でも」
「でも?」
「普通のセックスじゃ満足できないの。なんていうか、すごく刺激的なセックスがしてみたいの」
白昼堂々、いやらしい言葉を吐くM美。ここまで誘惑されて、引き下がっては男がすたる。
「じゃあ、いい方法があります」
「なに?」
「それは、そのときのお楽しみということで」
わたしはM美の都合のいい日と時間を聞き、約束を取りつけるのだった。
その次の土曜日の2時。仕事が休みのわたしは、自分のクルマを駆って待ち合わせの場所にいた。5分ほど待つと、M美が帽子にサングラスという出で立ちで姿をあらわす。
「お待たせ」
わたしたちはクルマに乗り込み、郊外のホテルへ。M美をよろこばせる道具は、すでに用意してある。
部屋に入ると、M美は借りてきたネコのようにおとなしくなった。大胆に誘惑してきた態度とは雲泥の差だ。
「どうしました?」
「う、ううん、なんでもない」
これからどんなことをされるのだろう。M美は不安にさいなまれているようだ。
M美から先にシャワーを浴びさせ、わたしは道具を用意した。道具というのはSMグッズ。普通の主婦が刺激を得るには、もっとも有効なプレイだ。
とはいうものの、身体に傷をつけるわけにはいかないので、やわらか感触のロープと革製の手かせくらいのもの。ムチもローソクも用意していないが、小さなローターは準備している。
「とりあえずこんなものか」
わたしはベッドに道具を並べ、どうやってM美をよろこばせるか考える。
「ビギナーだから、あまり乱暴なのは控えたほうがいいな。縛ってローターで責めて、最後はオレのを……」
そうこうしているうちに、M美が浴室から戻ってくる。彼女はそなえつけの衣裳に着替え、並んだ道具を見て目を丸くしている。
「これで……」
「そうです」
「でも、わたし、痛いのは……」
「心配しないでください。ロープは食い込んでもあとのつかないものを選びました。もちろん、あまり痛くもない。そしてムチもローソクも使いません。つまり、身体には一切、あとを残しません」
「それは……」
痛くないといってもM美は心配そうだ。
「じゃあ、はじめましょうか」
わたしはM美に近寄り、抱きしめる。身体がほてっているのはシャワーを浴びたせいだけではない。
「興奮していますか?」
M美は、いまにも泣き出しそうな顔でわたしを見つめ、肯定も否定もしなかった。
わたしはできるだけやさしく唇を重ね、身につけているものをはぐ。ブラジャーを取るとM美は両腕で乳房をかくす。
「さあ、こちらへ」
パンティ1枚だけを残したM美は、わたしに連れられベッドへ。わたしは、まずM美の手を背中にまわして手かせをし、自由を奪う。そしてベッドに転がすと、ロープで身体を縛っていった。
「痛かったらいってくださいね」
技術は、むかし知り合いに教えてもらった。そのときは完全なM女を調教した。その女はわたしにイジメられ、ヒイヒイとよがって悶絶した。
だが、M美は違うだろう。まずは彼女のM性を引き出さなくてはならない。そのためにはやさしく、やさしく……。
M美を四つんばいにしてパンティを脱がす。恥ずかしい部分があらわになっても、彼女にかくすすべはない。
わたしはM美の両手をロープで身体に固定する。盛り上がった乳房がロープのすき間からこぼれ落ち、乳首はすでに大きく勃起している。
彼女の身体を縛ると、わたしはしばらく手出しをせずにながめていた。その視線にたまらない羞恥をおぼえるのか、M美は身をくねらせて哀願する。
「ね、ねえ、どうなるの? わたしをどうするの?」
「そうですね、まずはこれで」
ローターにスイッチを入れる。ビーと小さな機械音がひびく。それを膣の割れ目にはわせながら、わたしはM美の状況をたしかめる。
「やあん、そんな、やん、だめぇ!」
されるがままになる状態で、M美は身体を大きくバウンドさせる。わたしはそんなM美をながめつつ、ローターを濡れた穴の中に押し込んだ。
「あああああん! イヤイヤ、許して、お願い!」
「刺激がほしいといったのは奥さんのほうでしょ」
「で、でも、こんなの、やあああん! いやん、恥ずかしい、ダメ、変になる!」
M美はローターだけで1回達する。そんなようすを見て、わたしも興奮をおぼえる。
「じゃあ、奥さん、今度は本物で気持ちよくなってください」
わたしは裸になってローターを抜き取ると、背後からそそり立った一物をあてがった。そしてズブリと根元まで押し込み、M美の締まりとぬめりを感じ取る。
「やあああん、ダメェ、こんなの、あああん!」
身体の自由がきかない。それが興奮を必要以上にたかぶらせる。拒絶も抵抗も許されない状況の中で、玩弄されるよろこび。
M美は確実に、それを感じ取っていた。
わたしはM美をかかえあげ、座位の姿勢をとった。両手を背中にまわしたまま下から突き上げられる行為に、M美は唇をかんで顔をそらす。
「どうしたんですか、気持ちよくないんですか?」
「いやん、恥ずかしすぎて変になる」
「入っているところ、丸見えですよ。奥さんのグヂュグヂュのオ×ンコの中にわたしのチ×ポが出たり入ったりしている」
「イヤイヤ、いわないで、恥ずかしいこと……」
「恥ずかしいのはおきらいですか?」
M美は首をよじって返事をしなかった。
座位から騎乗位に移ると、M美は不自由な身体を揺らして快感をむさぼっていた。
手が使えず、何かにすがりつきたくても許されない。腰だけで抜き差しをくり返し、子宮口に届くつらぬきを甘受している。
わたしも心地よさをおぼえ、最後はM美をあお向けに寝かせ、正常位で責める。人形のようになすがままになるM美は、わたしの抱きつきたい、もしくはシーツをつかみたい衝動に駆られているようだが、もちろん不可能だ。
「ああ、奥さん、イキそうだ、出そうだ」
「あああん、わたしも、わたしも」
「イキますよ、奥さん、イキますよ」
わたしは頂点間近に抜き取り、M美の下腹に射精する。M美は熱いほとばしりを受け止めながら、ビクンビクンと痙攣をくり返すのだった。
「こんなの初めて、すごくよかった」
全部が終わったあと、M美はいう。
「わたしって、じつはMだったんだ」
「そうかもしれませんね」
「あなたが気づかせてくれたの。ありがとう」
「礼にはおよびませんよ」
「ねえ」
「はい?」
「また、シくれる。子どもとダンナが留守のときに」
これがきっかけで、M美との関係ははじまった。けれど深入りは禁物だ。会社にバレたら、配置換えどころじゃ済まない。
「でも、エロいんだよな、縛られたときの彼女」
そんなことを考えながら、きょうも主婦達の待つ家を巡回する。今度はどんな誘惑を受けるのか、ワクワクしながら。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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