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【タクシードライバーの「破廉恥」乗務日誌】第23回「ありえないスマホ事故」

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【タクシードライバーの「破廉恥」乗務日誌】第23回「ありえないスマホ事故」

このコーナーは週刊大衆ベテラン記者の柚月怜氏が、街のタクシー運転手さんに乗客の破廉恥な行状をお伺いしたものです。タクシー運転手さんといえば、世の中で一番「街の事情に詳しい方々」といっても過言ではありません。新聞やテレビでは決して報じられない一般人たちの「ハシタナイ素顔」に腰を抜かしていただければ幸いです。なぜなら、この報告書には「真実」しかないのですから。

編集長
【被害ドライバー】
片山良一さん(35歳=仮名)。勤務地・横浜駅周辺。1年半前に友人の勧めでタクシー会社に入社。それ以前は某企業の営業マンとして働いていたが、体調を崩して退社した。独身、一人暮らし。趣味はアプリゲーム、好きなAV女優は澤村レイコ。

【ありえないスマホ事故】

「今年はコロナの影響で忘年会も激減していますからね。終電後、お客さんを拾うことも本当に少なくなりました」

 片山さんは売り上げが上がらないことに将来の不安を抱えつつ、他に打つ手もなく、その日も駅周辺で付け待ちをしていた。

「やることもないので、スマホでゲームをするか、もしくは動画をよく観ているんです。たまにはAV動画なんかも……」

 ちなみに片山さんは、自称「ドM」で、綺麗な女優さんにマゾ男が苛められる作品ばかり好んで視聴しているそうだ。

「その日は素人のギャル3人が担任の男性教師を奴隷のように扱うAVを観ていたんです。ギャルたちが男性教師の顔やペニスを踏みながら、『先生、マジ、チ●コ小さい』とか『こんな姿、教え子に見られて、恥ずかしくないんですか?』とか、ひどい言葉を浴びせてくるんです。もちろん、イヤホンをして聞いていましたよ」

 これで暇な待ち時間も、片山さんにとってはパラダイスになるわけだ。

 そんな中、ようやく一人のお客さんを乗せることができた。

「20代半ばの綺麗な女性でしたね。水商売系ではなく、普通の企業で働いているOLさんで、着ている服もお洒落。会話して分かったのですが、男と食事デートした帰りだったみたいです」

 女性はお酒を結構飲んでいる様子で、乗車するなり、片山さんに何かと話しかけてきた。

「彼女の自宅まで首都高に乗って、40~50分かかる距離でした。仕事のことや彼氏のことを、愚痴まじりにずっと喋っていましたね」

 片山さんも丁寧に受け答えしていたせいか、女性は「運転手さんは、若いし、いい人っぽいよね。まだ独身? 彼女とかいないの? 顔も悪くないから、すぐに出来そうなのに~」と、なんとも思わせぶりなことも言ってきた。

「正直、嬉しかったです。よく見ると、顔も柴咲コウにちょっと似ていて、Sっぽいところもあって」

 まんざらでもなかったという片山さん。

 やがてタクシーは首都高に入った。運転に気をつけながら飛ばしていると、

「あれ? 何? 変な声しない?」

 女性はその時、コロナ感染防止のため、車の窓を少し開けていた。風の音のせいで、はっきりとは聞き取れなかったが、

「キャハハ! こいつ、マジうける」

「JKのパンツ、口に咥えて、シコっているよ」

「キモ!」

 片山さんが青ざめたのは言うまでもない。

「ちゃんとロックをかけたと思っていたのですが…うっかりしていたみたいで…AV動画の画面のまま、停止ボタンを押していたんですね。で、何かの拍子に、再生ボタンに触れてしまったようで……」

 すぐさま動画を止めたいが、運転中のうえ、ましてや首都高である。すぐに停車できる場所も見つからなかった。

「え? 何、これ……運転手さんのスマホですよね?」

 後部座席にいた女性客もそろそろ気づき始めたようで、

「いや、本当に申し訳ありません」

 片山さんは耳まで真っ赤にして謝るばかり。その間にも、

「ほら、出せ、出せ、臭い精子、出せよ」

「女の子に苛められてヨガっているなんて、最低の大人だね。クズ!」

 まるで片山さん自身に浴びせるような罵倒がスマホから響いていたという。

そして、ついには片山さんに思わせぶりな態度を取っていた女性客も、

 「……ありえない」

 呆れたように吐き捨てて、コロナ対策とばかりに、窓を全開にしたという。

 片山さんはこう締める。

「恥ずかしい話、女性に『ありえない』と冷たく言われた時が、一番興奮しました」

取材&記事:柚月怜(ゆづきれい)
20代の頃より「週刊大衆」の記者として、街の妖しい噂やエロスポットを中心に取材。官能作家として、著書『惑わせ天使』(双葉社刊)もある。
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