このコーナーは長年「週刊大衆」の専属記者として夜の世界を中心に地を這う取材を行ってきた久慈修人が、これまでの記者人生で得た経験や思い出、そして今現在気がついたことを徒然なるままに呟く独り言です。ネタ元が主に週刊大衆ということもあるため「都市伝説的な形式」でお送りさせていただいております。つまり、信じるか信じないかは読者の皆様次第です。思わず腰をぬかしてしまうような奇妙な話、懐かしいあの頃の話、目頭が熱くなるような感動的な話、そしてただのタワゴトなどその内容は多岐にわたっておりますが、同世代のベテラン記者の話は夕やけ大衆の読者の皆様にもきっと深い共感を与えることでしょう。ここでは肩と股間の力を抜いてお楽しみください。

編集長

【GSからジャニーズ、女性アイドルまで…作曲家・筒美京平が逝去】

昭和歌謡の巨匠・筒美京平が亡くなった。

　60年代に作曲家活動をスタートさせ、70〜80年代にピークを迎えた筒美京平の作り出した名曲の数々は1950年代生まれの私にとって、「青春そのもの」だった気がする。

　66年、『黄色いレモン』で作曲家活動をスタートさせた筒美は、67年、グループサウンズ（GS）と呼ばれたヴィレッジ・シンガーズの『バラ色の雲』で名を上げ、『マドモアゼル・ブルース』『星空の二人』（ザ・ジャガーズ）、『ガール・フレンド』『スワンの涙』（オックス）など、GSの名曲を作り続けた。

　初のオリコン１位を獲得したのは、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』。その後、筒美は青春アイドル歌謡の分野へと手を染めていく。

「歌謡曲少年」として少年時代を過ごした私が、筒美京平と出会ったのは高校生の頃。筒美は南沙織の『17才』や麻丘めぐみの『芽ばえ』で、現在「アイドル」と呼ばれる一群の女性歌手のひな形を作った。私も御多分に漏れず、南沙織を「人生最初のアイドル」と認識した。当時、南沙織のライバルと目された天地真理には全然興味も湧かなかった。

　筒美は新御三家と呼ばれる男性アイドルにもそれぞれ楽曲を提供している。郷ひろみ『男の子女の子』『よろしく哀愁』、野口五郎『青いリンゴ』『甘い生活』、西城秀樹『恋する季節』など、彼らの出世作は全て筒美が手掛けている。

　たのきんトリオと呼ばれた近藤真彦や田原俊彦にも『スニーカーぶる〜す』『ギンギラギンにさりげなく』（近藤）、『君に薔薇薔薇…という感じ』『抱きしめてTONIGHT』（田原）などの楽曲を提供している。

　もちろん、女性アイドルにも次々と楽曲を提供。それぞれの歌手の代表作を生み出した。たとえば、『ロマンス』『シンデレラ・ハネムーン』（岩崎宏美）、『木綿のハンカチーフ』（太田裕美）、『センチメンタル・ジャーニー』（松本伊代）、『夏色のナンシー』（早見優）、『ヤマトナデシコ七変化』『なんてったってアイドル』（小泉今日子）、『1986年のマリリン』（本田美奈子）、『卒業』『情熱』（斉藤由貴）などなど、70〜80年代のヒットチャートを次々と賑わせた。

　アイドルだけではない。『また遭う日まで』（尾崎紀世彦）、『魅せられて』（ジュディ・オング）で筒美は二度のレコード大賞を受賞している。したがって、この2曲が代表曲ということになるのかも知れない。

　ただ、私自身の好みとしては、『真夏の出来事』（平山三紀）、『飛んでイスタンブール』（庄野真代）、『東京ららばい』（中原理恵）あたりに筒美の本質が現れているような気がする。

　あ、そういえばC-C-Bの『Romanticが止まらない』なんて曲もありましたね。

　いやあ、筒美京平、ほんとに幅広い。

　なんか、曲名をいっぱい書いてると、歌いたくなってきたな。追悼カラオケでもやりますか。もちろん、筒美京平縛りで！ｖ

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/