このコーナーは長年「週刊大衆」の専属記者として夜の世界を中心に地を這う取材を行ってきた久慈修人が、これまでの記者人生で得た経験や思い出、そして今現在気がついたことを徒然なるままに呟く独り言です。ネタ元が主に週刊大衆ということもあるため「都市伝説的な形式」でお送りさせていただいております。つまり、信じるか信じないかは読者の皆様次第です。思わず腰をぬかしてしまうような奇妙な話、懐かしいあの頃の話、目頭が熱くなるような感動的な話、そしてただのタワゴトなどその内容は多岐にわたっておりますが、同世代のベテラン記者の話は夕やけ大衆の読者の皆様にもきっと深い共感を与えることでしょう。ここでは肩と股間の力を抜いてお楽しみください。

編集長

【新型コロナ禍、NHK大河ドラマ中断で思う『麒麟がくる』の矜恃】

　NHK大河ドラマ『麒麟がくる』はコロナ禍のために収録を中止したため、６月７日放送の第２１回、「決戦！桶狭間」を最後にしばらくお休みしている。この休みの間にオンエアされているのが「『麒麟がくる』まで待てない！　戦国大河ドラマ名場面スペシャル」という過去の作品のダイジェスト。これまで『独眼竜政宗』『国盗り物語』『利家とまつ』のスペシャル番組が放送され、それなりに好評を博しているのだ（この次は『秀吉』）。

　特に、大河史上最高の視聴率を叩き出した『独眼竜政宗』における若々しくもカッコいい渡辺謙の勇姿。父親役を演じた北大路欣也との絡み、秀吉を演じた勝新太郎との演技合戦など、息もつかせぬ45分はあっという間に過ぎていった。『独眼竜政宗』は今見ても面白い！

『国盗り物語』は、『麒麟がくる』同様、斎藤道三、織田信長、明智光秀をメインに置いた作品なのだが、高橋英樹の信長がのりうつったかのような迫力と信長に翻弄される明智光秀を演じる近藤正臣の絡みが素晴らしく、47年も前の作品とは思えない迫力があった。いやあ、素晴らしい。

　私が大河ドラマをはじめて見たのは『太閤記』。1965年の作品だから、私が10歳のときになる。その後、作品によって、見たり見なかったりを毎年繰り返してきた。印象に残っている作品は『国盗り物語』（73年）、『草燃える』（79年）、『獅子の時代』（80年）、『武田信玄』（88年）、『太平記』（91年）など。

　思うところあって、03年の『MUSASHI』からは、すべての作品を見ることに決めたのだが、それでも05年『義経』、06年の『功名が辻』は途中で脱落してしまった。07年の『風林火山』から、今年の『麒麟がくる』までは、すべての作品に目を通している。
　
　近年で良かった作品は『風林火山』、『龍馬伝』（10年）、『平清盛』（12年）、『軍師官兵衛』（14年）、『真田丸』（16年）。特に『平清盛』なんかは視聴率は振るわなかったが、もの凄い大傑作だと私は信じている。

　ともあれ、『麒麟がくる』まで待てない、と称して、過去の名作のダイジェストを放映するとは、NHKもいい度胸をしている。どうしても『麒麟〜』が過去の名作と比べられてしまうからだ。それはしかし、あえてそのようにしているのだろう。過去の作品と比べても遜色のない作品を今作っているんだ、という制作者の矜恃のようなものが窺えるからだ。

　６月30日、『麒麟がくる』の収録は再開された。きっと、過去の名作と比べても遜色のない作品に仕上げてくれるものと信じている。『麒麟がくる』の再開が待ち遠しくてならない。