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還暦記者・久慈修人の「真夜中の取材ノート」第5回【プロレスで多忙の日々「ハヤブサの勇姿」】

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還暦記者・久慈修人の「真夜中の取材ノート」第5回【プロレスで多忙の日々「ハヤブサの勇姿」】

このコーナーは長年「週刊大衆」の専属記者として夜の世界を中心に地を這う取材を行ってきた久慈修人が、これまでの記者人生で得た経験や思い出、そして今現在気がついたことを徒然なるままに呟く独り言です。ネタ元が主に週刊大衆ということもあるため「都市伝説的な形式」でお送りさせていただいております。つまり、信じるか信じないかは読者の皆様次第です。思わず腰をぬかしてしまうような奇妙な話、懐かしいあの頃の話、目頭が熱くなるような感動的な話、そしてただのタワゴトなどその内容は多岐にわたっておりますが、同世代のベテラン記者の話は夕やけ大衆の読者の皆様にもきっと深い共感を与えることでしょう。ここでは肩と股間の力を抜いてお楽しみください。

プロレスで多忙の日々「ハヤブサの勇姿」

 90年代後半から2000年代にかけて、プロレス観戦にハマっていた。仕事上でも、プロレス記事やインタビューは人気で、私もよく担当して忙しかったのを覚えている。

 主に観ていたのはFMW。大仁田厚が立ち上げ、過激な電流爆破マッチで人気を博した団体である。しかし、私が主に観に行っていたのは、大仁田「引退」後の「新生FMW」。大仁田の「引退マッチ」の相手に指名されたハヤブサ選手を中心に、WEWばりのエンターテインメントプロレスを展開していた頃のFMWである。毎回、リングサイドの一列目か二列目で観戦できるという恩恵を受けたこともあり、後楽園ホールの大会には必ず顔を出した。

 新生FMWの何が良かったのか、さまざまな理由はあるが、やはり、団体のエース・ハヤブサ選手のカッコ良さに尽きるだろう。まずは、鳥の隼を模したペイントとマスクスタイルが、カッコいい。それで華麗な飛び技を次々と繰り出す、そのファイトスタイルには驚嘆させられた。ファイアーバードスプラッシュ、フェニックススプラッシュ、ファルコンアローなどの必殺技の切れ味の素晴らしさは、いまYouTubeなどで見返しても「並ぶもののない完成度の高さ」を誇っている。

 その後、みちのくプロレスの新崎人生選手とのタッグで、全日本プロレスにも参戦。私はこのとき、FMWの営業部長に頼まれて、会場に「FMW」というフラッグを立てたことが思い出深い。ハヤブサ選手は、メジャー団体でもその能力の高さを誇示した。トップロープの上を開脚で飛び越すリングインに始まり、縦横無尽にリング内を駆け回るファイトスタイル。リング全体を立体的に使う華麗な技の数々に観客は息を飲むばかり。「お楽しみはこれからだ」という決めゼリフとともに盛り上がる会場。ハヤブサはマイナー団体に所属しながら、メジャー級のクオリティと人気を誇っていたといえるだろう。

 しかし、2001年10月、運命は暗転する。後楽園ホールで行われた対マンモス佐々木戦で、飛び技に失敗して、頸椎を損傷する大事故に遭ってしまったのだ。

 この後、長い闘病生活に入ったハヤブサは、車椅子生活を余儀なくされ、リング復帰を夢見ながら、2016年3月3日、くも膜下出血のためにこの世を去ってしまう。

 一方、エースが不在となったFMWは、ハヤブサの事故の翌年、二度にわたる不渡りを出して事実上の倒産、社長の自殺という悲劇的な末路を迎える。結末が悲惨だっただけに、FMWには触れづらい雰囲気がいまだに残っている。

 しかし、90年代後半、眩いばかりの輝きを見せたハヤブサの勇姿を私は忘れることはできない。いつの日か、ハヤブサが高く再評価される日が来ることを、私は望んでいる。

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