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このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【あこがれの看護婦に燃え上がった欲望】大阪府在住H・Tさん(57歳)
高校生のころ、サッカー部だったわたしは練習途中に足の骨を折り、入院することになった。普通の日なら嫌いな勉強をしないで済むと大喜びのところだが、あいにく夏休みの真っ最中。同級生は海へ山へとヴァカンスを楽しんでいるのかと思うと、ベッドに横たわり、広がる青い空を見つめ、腹立たしさと情けなさを味わっていた。
そんなわたしの唯一の慰めは、看病に当たってくれた看護婦さんだった。歳は20代そこそこ。パッチリとした大きなひとみと、すらりと伸びた手足。そして白衣の胸元を盛りあげる豊満な乳房が印象的な美人だった。
「せっかくの休みが台なしになってしもたね。かわいそうにね」
家族ですら「自分の不注意。病気じゃないんだから」とわたしを置いてけぼりにして旅行に出かけたというのに、彼女だけが同情してくれた。そのやさしさと美しさに、わたしは恋愛感情をいだいてしまったのであった。
しかし10代半ば過ぎの若造に年上の女性を口説くすべはなく、ましてや思いのたけを訴える勇気もない。わたしは天使のような彼女を思い、日々、悶々とした夜をすごしていた。
溜まった性欲を自分で解消しようにも、足にはきっちりギブスがはめられて身動きもままならないし、なんといっても相部屋だ。周囲が気になる。それに、よこしまな感情で彼女をとらえることは、とても許されないように思われ、夢に出てくる淫靡な姿でさえ、振り払おうと必死になるほどだった。
そんなある日、ようやく松葉杖を突いて歩けるようになったころ、わたしは夜中に尿意をおぼえトイレに立った。
夜の病院というのは、あまり気味のいいものではない。それに、その病院は造りが古く、白壁には染みがあり、明かりは落とされている。わたしはおびえながら、便所に向かって廊下を進んでいた。
用を済ませ、それでも相変わらず怖さをおぼえながら、わたしは病室へ戻ろうとした。そのとき、どこからともなく女のうめき声が聞こえてきた。
わたしは背中に冷たいものを感じながら立ち止まった。そのまま急いで病室に帰ろうとしだが松葉杖だし、しかも足がすくんで動けない。耳をふさごうにも、両手は杖で使えない。わたしは聞きたくもない声を耳にし続ける。
「やん、ああん……」
しばらくするうちに、それは幽霊でもモノノケのものでもない、若い女の喘ぎ声だとわかった。そのころはまだ童貞だったが、女が興奮すれば艶っぽい声を出すことくらい知っていた。
わたしはできるだけ杖の音を忍ばせ、声のする方へ向かっていった。そこは個人部屋の病室だった。
わたしはおそるおそるドアノブを持ってまわしてみる。すると扉は音もなく開いた。
わたしはそのすき間から中をのぞいてみた。天井の明かりは落とされているものの、ベッドサイドの電球は灯されている。そこに二人の人影があり、もつれ合いながらシーツも布団もないベッドに転がっていた。
「あかん、あかんて。だれかに見られる」
「だれもけえへん。こんな時間にだれもくるかいな」
「ほ、ほな、せめて電気」
「お前のきれいな身体、ちゃんと見たいんや」
「ああん、恥ずかしい。いや」
「いやや恥ずかしいっていいもって、ここは、ほら、こんなんなってる」
「いやいや、いやや、あん」
男は若い医師。闇に浮かぶ白い肌をくねらせ悶えているのは、ほかでもない、わたしがあこがれをいだいていたあの看護婦だった。
彼女はナースキャップをかぶったまま白衣を乱し、医者はスカートの中に手を入れている。胸元は大きくひろがり、形よく大きく実った乳房があらわになっている。
わたしは落胆と憤りをおぼえた。このまま怒鳴り込んでやろうかとも思った。しかし、相手や場所はどうあれ、すぐ目の前に天使のような彼女の裸体と淫靡な姿が披露されているのだ。
高校生といえばやりたい盛り。そのころはギブスも薄く軽く短いものに代わっていたので、わたしはその光景をながめながら、松葉杖をわきにはさみ、ズボンの中をまさぐってしまうのだった。
次の日から彼女を見る目が変わってしまった。彼女は相変わらずにこやかにやさしくわたしに接してくれるが、一皮むけば深夜の病院で乳くり合う女だと知ると、以前のような思慕を持つことはなくなった。
そのかわり、わたしは彼女に対して大胆な行動をとるようになっていった。
「看護婦さん」
「なあに?」
「かゆいんや、かいてくれへんかな」
「どこ? 背中?」
「ううん」
わたしは股間を示す。
「いややわ、冗談いわんといて」
彼女は笑って軽くいなすが、目は潤んでいる。赤い唇がしっとりと濡れ、ほほが紅潮している。
そしてとうとう、わたしは夜中に彼女を呼び出すと思い切った行動に出た。
その日はお盆で、相部屋の患者は全員里帰りし、わたしだけが残されていた。ナースコールで呼び出された彼女は、心配そうな表情でわたしのところにきた。
「どうしたん?」
「か、看護婦さん。苦しい」
「どこが苦しいん? どこ?」
「ここ」
わたしは、すでに大きく勃起した股間を示した。
「ここ、ここ、こんなんになってる。看護婦さん、なんとかしてぇな」
「な、なに、アホなこと……」
とがめようとした看護婦ではあったが、そこは空き部屋で男と媾合う淫乱女。隆々と屹立したわたしを見て、目の色がサッと変わった。
「ほ、ホンマやね。こんなんなってる」
「苦しいんや、つらいんや」
「そ、そやね、高校生やもんねぇ」
彼女はそういうと舌なめずりをし、わたし股ぐらに顔を近づける。
「見たげる。ズボンとパンツおろすよ」
わたしの返事を待たずに、彼女はパジャマをずりおろした。露出されたのは、飛び出るように天を貫く一物。先端が濡れて脈打つわたしを見て、彼女は驚きに似た表情を浮かべた。
「まあ、大きい」
表情はすぐに妖艶な笑みとなり、彼女は指をそえて握りしめ、ゆっくりと上下にこすりはじめる。
「大きくて立派やけどカワイイ。すべすべしてる」
全体をおおいながら手のひらでこすり続けた彼女は、やがて舌を出して全体をしゃぶり出した。そのねっとりとした感触に、わたしは思わずうめき声をあげてしまう。
「こんなになって苦しいでしょ。溜まったもん、吸い出してあげる」
彼女は唇を開き、わたしを咥える。ヌルヌルした感触と舌のうごめき、そして内ほほのなめらかさに、わたしは早くも限界を知る。
「か、看護婦さん」
「な、なに?」
「で、出る」
「出してエエんよ、そのまま出して。口の中に」
彼女の動きが大きく激しくなる。クチュクチュと湿った音が聞こえてくる。
わたしはそのままドクリと吐き出してしまった。彼女はそれを口に溜め、最後の1滴まで搾り出すと、コクリとのどを鳴らして飲んでくれた。
「おいしい。若い男の子のはおいしい」
そういって笑みを浮かべた彼女は、ベッドの上にのぼり、わたしにまたがる。
「今度はウチを気持ちよくして」
彼女は白衣の胸をはだけ、わたしの顔面に押しつける。わたしは巨大でやわらかな乳房に吸いつき、小さく桜色した乳首を舌で転がす。
「そ、そう……、あん、気持ちいい。ほら、ここ、こんなんなってる。もう、ビチョビチョになってる」
彼女はスカートの中にわたしの手をいざない、パンティの中に導いた。薄い茂みがザラリと感じられ、その向こうにある肉ビラは愛液で濡れている。
「女は初めて?」
「は、はい」
「ほな、ウチが最初の女や。うれしい」
そういって彼女は下着を脱ぐと、復活したわたしを入り口にあてがった。
「ほら、わかる? ここに挿れるんやよ。ここに、ウチのオ×コにあんたのチ×ポ、突っ込むんやよ」
彼女は背中を反らせてわたしを納める。肉厚のある柔軟な感触がわたしを包んだかと思うと、肉襞がまとわりつくように襲ってきた。
「あ、ああん、入る、届くぅ」
腰を振りながら乳房を揉み、彼女は大きく悶えた。その表情は淫靡にゆがみ、唇からは赤い舌がチロチロ顔をのぞかせる。
わたしは彼女の内部を味わい、肌の感触を味わった。そして、セックスで出す初めての精液を、彼女の中に注入した。
入院中は、何度か彼女が忍んできて絡み合った。同室の患者が戻ってくると、空き部屋を使い交わり続けた。
やがてわたしは退院した。しばらくは通院の度に彼女を探し関係を続けたのだが、完治すると出会うこともなくなった。
しかし、いまでも彼女のことは忘れていない。彼女の笑顔、そして裸体とその感触。
退院したとき真っ黒に日焼けした友だちは、わたしのことを同情した。わたしもそれに呼応して、表向き彼らのことをうらやましがった。
しかし、わたしは彼ら以上に、すばらしい夏を過ごした。もちろん、このことはだれにも話してはいないが。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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