――引退間近なのでこれは観ないとマズいなというくらいの一番ヌケる作品はなんですか？

「どれでしょうねえ(笑)。いっぱいありますからね」

――先日、引退発表した市川まさみちゃんにも同じ質問をしたら「デビュー作を観て、いまの私と比べてほしい」と言っていました。

「私はむしろデビュー作は観ないでほしいです(笑)」

――恥ずかしいですか？

「恥ずかしいですし、いまの私に興味がある人には良くも悪くも違いすぎるんです。キャラクターもそうですけど、演技やテクニックが上手な私を観てほしいです」

――プロフェッショナルなところですか？

「はい、そこを観てほしいです」

――そうするとキカタン女優以降の作品ですか？

「そうですね。ここ1、2年くらいの作品を観てほしいです。ここ1、2年は引退を意識して撮影をしているので、なにかが変わっているかもしれないです」

――ぜひ、ファンの方のみならず観てください。あと、あべさんと言えば「賞レース女優」のイメージがあるんです。ノミネートの数がすごいですよね。

「そうですね(笑)」

――授賞式の取材に行くと「必ずいるなあ！」って思っていました。

「『また、おる』みたいな(笑)」

――ノミネートされるとプレッシャーで病む人もいますが、あべさんはどういう心境でしたか？

「当時は嬉しかったです。ノミネート者には有名女優さんもいっぱいいましたし」

――あべさんも有名じゃないですか。

「最初にノミネートされた『DMM.R18アダルトアワード2017』は『もう勝てないよ！』って思っていました。でも、デビューから5年も経っているのにノミネートしてもらえるのは嬉しかったです」

――「DMM.R18アダルトアワード」には2018年も2年連続でノミネートされ、同じ年には「スカパー！アダルト放送大賞2019」にもノミネートされました。

「3年連続で賞レースに出ました」

――賞レースではファンの温かみや力を感じましたか？

「感じました！　特に最初にノミネートされた『DMM.R18アダルトアワード2017』では特別賞をいただいたんですけど、その受賞理由が『ツイッターでのファンとの盛り上がりを評価しました』と言っていただいたんです。それを聞いて『ありがたい』と思ったし、『私一人の力だと絶対に無理だ』と思いました」

――そういうファンとの絆を評価された賞が一番嬉しいですよね。

「すごく嬉しかったです」

――あとはピンク映画も出ましたが、ピンク映画のデビュー作はいきなり名作でした。「あの映画こそ、あべみかこだ！」って評価が高いです。

「言われますね！」

――田舎の・・・。

「ツンツンした少女(笑)」

――ツンツンしているけど、実は初心な感じがまさにあべさんでした。ピンク映画にも興味はありましたか？

「AVでドラマ作品をやるようになってから演技が楽しいと思い始めたんです。セリフを覚えるのが苦手なんですけど、エロ以外のシーンも大事にするようになりました。そこでエロ以外の演技もやりたくなった時にピンク映画のオファーが来たので、『よっしゃ！』と思いました」

――しかも、その作品で「ピンク映画ベストテン2019」新人女優賞を受賞しました。

「獲りましたねえ。しかも翌年の『ピンク映画ベストテン2020』では主演女優賞もいただきました」

――演技でものすごく評価されていますから本格的な女優に目覚めましたか？

「舞台やピンク映画に出演した時点で演技は大事にしようと思っていたので、あまりその意識はないかもしれないです」