【山之上彼方プロフィール】

陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。

【シニアの超能力「アレ・テレパシー」】

私は時々考えます。人は年を取るとポンコツになっていくばかりなのか。物忘れがひどくなり、昨日食べた昼ご飯のメニューすら忘れてしまう……。

しかし衰えていく部分があれば、それを補う働きが生まれる。それは自然の摂理であり、生命のお約束。私は幸運にも、ある場でその奇跡的瞬間に遭遇しましたので、一部始終をご報告します。

天気の良い平日の昼。私はフリーランスの特権と、近所にある神社に行き、桜を見ていました。すると70から80くらいの、腰の曲がったおばあさん同士が

「あら！ 元気だった～」

と、再会を楽しんでいるではありませんか。

　なんと和やかな風景。桜と青空、そして人生の先輩の笑顔。とても微笑ましかったので、私はその様子を眺めることに。すると、

「ちょっとアレ見た？ すごかったなあ」

「うんうん、アレよかったね」

「そうそう、うちの家族でアレが流行ってて、全員アレでアレに忙しくて」

「あらら、うちはアレに目がなくて、この間あそこまでアレしに行ったわよ」

　……。

うおおおお、アレアレばっかりでサッパリ分からない（汗）！！

私は手に持っていた缶コーヒーを落としそうになりました。この二人が大の仲良しで、多少の共通項はあるのかもしれません。しかし、話がコロコロと変わり、どう考えてもお互いわかるわけがないだろう、と思うような「アレ」「あそこ」が何回も登場するのです。いや、もはや話の内容の７割が「アレ」と言っても過言ではありません。

「コロナ対策のアレ、もう少しアレしないとね」

「うーん、あそこに置いてあるアレもなんだかアレがわからないのよね」

見えない！　話が全く見えない！

　しかし２人は、共に満足そうにアレアレと言い合い深く頷き、

「わかるわ～。今度一緒にアレしましょう。じゃあね」

と話を終えたのでした。

　私は確信しました。きっとこれは超能力だと。60歳を超えたあたりから覚醒する「アレ・テレパシー」なのだと！

物忘れがひどくなるのと「細かく説明するのが面倒臭い」。こういった老化ポイントをカバーするため、自然に「アレ」でいろんなことを伝える＆読み取る力が目覚めるのでしょう。

　世界の機密機構が、この「アレ・テレパシー」に注目するのも、時間の問題だと思っています。70代以上のスパイ……。いろんな意味でかなう気がしません。