このコ―ナ―は簡単に言えば「ネオン街の名物オヤジ」をご紹介するものです。現在、新型コロナの影響で日本中が意気消沈しておりますが、オヤジたちは元気そのもの。そんなオヤジたちの活力を皆様の元にお届けします。取材するのは週刊大衆ベテラン記者の中村誠一氏。編集部内でも１、２を争うクセモノ記者です。記念すべき第１回目は東京・中野の『HAMMER HEAD』（ハンマ―ヘッド）。どうぞお楽しみください。

編集長

今回は、中野の盛り場「昭和新道通り」の役員でもあるBAR「ハンマ―ヘッド」の店主・茂木潤さんにお話を伺った。

――お店の開店はいつですか？

茂木店長　開店したのは2006年かな。2003年ごろから準備を始めて、今年で開店15年目になる。

――それまでは何をなさってたんですか。

茂木店長　普通のサラリ―マン。中野で当時、納税額No.3だった中古カメラ店で、けっこうな収入を得ていたんだけど、40歳を目前に、「このまま、今の仕事続けても先が見えている」と、独立して店を始めることにしたんだ。その頃、ロッキ―青木の本を読んで、「40で独立するべきだ」という考えに染まっていたこともある。デジカメの登場で、カメラ業界が大きく変わる予感がしたことも、ひとつのきっかけになったかな。それで42歳の時に、今の店を始めたんだ。

――脱サラするとき、「辞めないでくれ」と言われなかったんですか。

茂木店長　辞める意思があるっていうことを示すために、調理師免許をとる学校に通った。皆勤賞でトップの成績で卒業できたんだ。それで、会社もオレが本気だってことが分かったと思う。

――開店資金は？

茂木店長　そりゃあ、ある程度の蓄えがあったからね。でも、店内の装飾とかはDIYだよ。なんでも自分でやっちゃうんだ。実はね、開店一週間前に、事故に巻き込まれて、100%向こうが悪いんで、保証金がもらえて、開店資金の元が取れてしまったという出来事があった。ラッキ―だったよ。

――ハンマ―ヘッドという店名の由来は？

茂木店長　アメリカンスラングで、「イカれてる」というような意味だね。それと同時に、オレは昔からホラ―好きで、「ドラキュラ」とか「フランケンシュタイン」なんかよく見てたんだけど、これらの映画は「ハマ―ム―ビ―」と呼ばれてた。それで、この二つの意味をくっつけて、ある種の「不良っぽさ」を感じさせるハンマ―ヘッドという店名にしたんだ。

――どういう店にしようと？

茂木店長　音楽と映画をメインにした店にしたかった。今から、ミュ―ジシャンになろうと思っても無理だし、映画のスタッフになるにも歳を食ってる。でも、飲み屋で、好きな音楽や映画のことを語るんなら、いくらでも喋れる。

――バンド活動もなさってますよね。

茂木店長　趣味でブル―スバンドをやってる。年に一回、中野区のイベントでやるんだけど、今年はコロナのせいで中止になっちゃった。

――商店街の役員をなさってますね？

茂木店長　中古カメラ店で働いている時に、ずいぶん顔が広くなってたからね。商店会の役員が代替わりのタイミングだったこともあって、就任したんだ。

――このあたり、立ち飲み屋がずいぶん増えましたね。

茂木店長　安く飲もうって客が増えたんだろうね。安く飲むんなら自宅で飲んでろよ、って言いたくなるけど、じっくり腰を落ち着けて飲むより、ライトな感覚で飲みたいんだろう。でも、今回のコロナ禍で状況は変わるかもしれない。立ち飲みなんて三密の最たるものだから。

――この店はコロナの影響は？

茂木店長　影響は、あんまりないね。もちろん、4月〜5月の非常事態宣言の時は休んだけど、再開してから客は戻ってる。

――この15年で起きた大きな出来事は？

茂木店長　2018年の７月13日に救急車で搬送されたことだね。まさに死の淵をさまよった感じ。それ以来、タバコをやめて、健康的な食生活をするようにつとめて、ずいぶん体調は良くなった。

――今後はどうなる？

茂木店長　コロナまで来ちゃったからね。もうあとは宇宙人がやってくるぐらいのことがないと驚かないよ。宇宙人、もうすぐ来るんじゃないかな（笑）。

――ありがとうございました。

【取材協力店】

東京・中野『HAMMER HEAD』（ハンマ―ヘッド）

• 東京都中野区中野５丁目４９－３ ２階
• SNS：https://www.facebook.com/hammerheadshinogi
• 定休日：日曜日