日本の伝統文化といえば、書道・盆栽・茶道など、日常生活の中で広く親しまれているものばかり。しかしそんな表の伝統とは間逆に位置する、日本の裏文化の存在も忘れてはならない。それが女体盛りである。裸体の女性を仰向きにした状態でマグロ、サーモン、イカなどの刺身を盛り付ける女体盛りは、外国の日本料理店や映画にも多数取り上げられたことで、今や世界中で認知されており、海外セレブからの注目度も高い。まさに女体盛りは日本を象徴する文化の一つといえるだろう。
この日、都内某所で行われた女体盛りパーティには多数の成人男女が参加。一部の男性がイメージするような、エロスを優先した卑猥な状況とは異なり、優秀なモデルとアートディレクターの手によって優雅で芸術的な空間を作り出していた。

美しい女体に、いろとりどりの食材が盛られる。

そんな女体盛りであるが、ただ女性を裸にして刺身を盛り付ければいいというものではない。そこには様々なしきたりが存在する。そこで今回は女体盛りに関する作法を紹介しよう。

一.モデルにはリラックスできる空間を提供せよ
最初の盛り付けから、ギャラリーに刺身を食べつくされるまでの間、体を静止したまま仰向けになければならないため、女性は心身共に相当体力が奪われる。せめて盛り付けの間だけでも、ギャラリーの視界を遮るため、周囲をカーテンのようなもので塞ぐ配慮を行うとよい。また常時、裸でいるため、室内の温度も気にかけておくこと。

二.女体の上にはラップを敷くべし
刺身を直接肌の上に置いてしまうと、かぶれてかゆくなることがある。女性の肌を傷つけないためにも、まずはラップを敷いてから盛り付けるようにすることが大切である。他にも人間の肌には先天的に、食中毒を誘発させる菌が付いている場合もあるので、衛生面の点から考えてもラップを使うのが好ましい。

女体と食材の間にはラップを敷き、食中毒予防に配慮する。

三.盛り付けの際は彩りを鮮やかに
女体盛りに限らず、料理には食欲をそそる彩りも大切である。それぞれの食材の色を生かして、盛り付けを意識すること。刺身以外にも食べ物ではないが、鮮やかな花を一緒に添えるとアクセントとなり、女体がより美しくなる。

季節感を出した装飾により、さらに食欲をそそる盛り付けを。

四.肉体に触れるべからず
女性は性的サービスを行うのではなく、料理の受け皿として女体盛りを体現するためにそこに存在する。そのため刺身を取る際に、直に触れてしまうとセクハラとなるため、ギャラリーはきちんと箸を使って食べる必要がある。

五.食す側は常に紳士であるべし
モデルを前にして、卑猥な罵倒を浴びせることが禁止なのはもちろんだが、箸を使った場合においても「おっとこんな所にラムレーズンが！」と冗談を言いながら乳首を摘んでしまうのは言語道断。女性への敬意が足りないだけでなく、女体が笑い出した場合、せっかく盛り付けたお刺身が崩れ落ちる危険もある。よって紳士な心を忘れずに女体盛りを楽しもう。

女体に直接触れるのはご法度！　あくまでも紳士的にお箸でいただこう。

このように、女体盛りはきちんとしたルールに則って実践するということを忘れてはならない。この文化は江戸時代における遊女の指南書にも覚書が記されており、脈々と現代に受け継がれてきた。今後もその文化を絶やすことなく、続いていくことを願うばかりだ。

年末年始のパーティシーズン、日本ならではの女体盛りを楽しんでみては？

撮影：深澤宏太　　モデル：サラ・マダンナ　　アートディレクター：福山理絵