平成生まれで、なおかつテレＨ大好き主婦の私にとって「ひと夏の情事」を実行するなら、やっぱり現代的なマッチングテレホンということになりますが、実はちょっとだけアナログっぽい昭和エロスにも興味があります。

　たとえば夜這いとか青姦とか、ちょっと不謹慎かもしれませんが夫に先立たれた未亡人が仏壇の前で喪服のまんま義兄に後ろから突きまくられる設定とか、そのほかにも亭主の留守中に人妻のもとにやってくる間男などにも激しく胸がときめきます。

　でも、どれもこれもテレＨでは難しいものばかり。私には一生、縁のないものと諦めておりました。

　ところが先日、思わぬことで昭和っぽいプレイを味わうことになったんです。

　あれはまさに「昼下がりの情事」という言葉がピッタリの平日正午の出来事でした。

　相手の年齢は50代後半といった感じ。話し方が優しくてとても丁寧な言葉を使う方だったんですが、会話の最中、やけに周囲の雑音が耳につくんです。人の笑い声、緊急車両が駆け抜けていく音、高収入を謳う宣伝カーの軽快な歌とメロディー。中でも一番、私が違和感を感じたのは横断歩道の音が定期的にピヨピヨと流れてくることでした。

　あんまりにも様子がおかしいので「いったいどこで電話をしているのか」と聞いてみたところ、なんと彼は繁華街の路肩に車を停めて、運転席で股間をまさぐっているというんです。

　これには私も愕然。マジックミラー号じゃあるまいし、ゆうに五十を超えた社会的立場のある人間が、こともあろうに白昼堂々公然猥褻なんて言語道断です。

　当然私は「誰かに気づかれたりしいないのか」と尋ねますが、男性のほうはカエルのツラに小便で「そのスリルがたまらんのだ」などという始末。挙げ句の果てには高収入の宣伝カーのリズムに合わせて「クリちゃん、クリクリ！　おま●こ、指入れ！」などと囃し立てながら、私にもオナニーをするようにハッパをかけてきます。

　もはやテレＨは絶望的な変態夏祭り状態。

　ところがなぜか私は昭和時代のアベックが頻繁にやっていたという「カーセックス」を連想してしまい、妙に興奮してしまったんですよね。つまり、イケナイことを強要されてドＭ心に火がついちゃったんです。

　でもさ、やっぱり社会のルールは守らないと。ね。

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