このコーナーは週刊大衆ベテラン記者の柚月怜氏が、街のタクシー運転手さんに乗客の破廉恥な行状をお伺いしたものです。タクシー運転手さんといえば、世の中で一番「街の事情に詳しい方々」といっても過言ではありません。新聞やテレビでは決して報じられない一般人たちの「ハシタナイ素顔」に腰を抜かしていただければ幸いです。なぜなら、この報告書には「真実」しかないのですから。

編集長

【被害ドライバー】

八木満男さん（65歳＝仮名）。都内のタクシー会社に勤務。タクシー運転手歴は１４年で、それ以前は旅行代理店に勤務。7歳下の妻がいるが、かれこれ15年以上セックスレス。好きな女優は仲間由紀恵。

【家庭用シリンジキット】

昼下がりの赤坂駅周辺で乗せたのは、30代半ばと思われる主婦２人組だった。

「着ている服やバッグを見る限り、いかにもお金持ちのセレブ妻って感じでしたね。まだ日中でしたけど、すでに酔っておられました」（八木さん）

目的地は五反田方面。会話を聞いていると、二人は子供が同じ幼稚園に通っているママ友同士で、赤坂にある「生牡蠣食べ放題」のお店でランチをした帰りのようだった。

「ワインもかなり飲んだみたいで、おしゃべりに花を咲かせながら、二人ともフラフラしていましたね」（前同）

そのうち二人は自分たちの旦那に関する愚痴をこぼし始めたという。

とくに友達からサヤカと呼ばれている見た目、切れ長の瞳が色っぽい美人妻の、年上夫に対する愚痴が強烈だったという。

「ほんと、全然ないの。この前も排卵日だったから、なんとか勃たせてタネを貰おうと頑張ったんだけど、腰振り出したら、すぐにゼエゼエして、『ダメだ～』って」

どうやらサヤカの夫はEDのようだ。

「結婚前はそんなことなかったんでしょ？」

お友達が聞く。

「うん。でも、今から思うと昔から淡白だったよ。ほら、前にも話したじゃん。朝いきなりアレを出して『朝勃ちしてる！』って見せつけてきたって話。その頃、旦那はまだ30代だよ。朝勃ちなんて普通じゃん。それをあんなに喜ぶなんて、元々弱かったんだろうね」

サヤカは呆れたように笑い、それからこんな話をし始めた。

「それでさ、家庭用シリンジ法キットってのがネットで売っていたから、試しに買ってみたのよ」

「あ～、シリンジで吸い取るやつ？」

「そう。精子をコップに出してもらって、それをシリンジで吸い取って、ナカに注入したら妊娠するってやつ。まあ、物は試しと思ってさ。で、排卵日の時に、オナニーでいいから精子出してきてよって、旦那にお願いしたの」

「アハハ」

「そしたら、オナニーでも勃たないっていうの。何なの、あいつ。私の計画が台無しじゃん」

酔っているとはいえ、サヤカは怒りをおもむろに露わにする。

「何、計画って？」

「私、不倫してんじゃん。独身の頃から付き合っていた人と」

夫がEDとあって、サヤカはやはり別の男がいるようだ。

「ああ。まだ続いているんだ？」

「そう。彼のほうは性欲の塊だから。毎回、中で出してもらっているの」

「ヤバイじゃん、それ」

友達のツッコミに、八木さんも無言で同意していた。

ところが、サヤカはトンデモない計画を口にしたという。

「いいの。むしろ、彼の子を妊娠しちゃいたいの。で、旦那にはシリンジ法が成功したと言えば、バレないじゃん。血液型も彼と旦那は同じA型だから」

「なるほど～」

友達は感心したように手を叩いていたというが、

「いや、もう……ほんと、恐ろしいですよね。会社の後輩にも、嫁とはセックスレスだという運転手が何人かいてね。会社に戻るなり、彼らにこの話を聞かせてやりましたよ。ちゃんと構ってあげないと、家庭用シリンジ法キットってのを渡されるぞってね」

八木さんもその日、家に帰るなり、久しぶりに奥さんに迫ったそうだ。

取材＆記事：柚月怜（ゆづきれい）

20代の頃より「週刊大衆」の記者として、街の妖しい噂やエロスポットを中心に取材。官能作家として、著書『惑わせ天使』（双葉社刊）もある。