Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【紅葉の信州で未練を残した夜】
T・M 70歳 愛知県在住
昨年、俳句が趣味のわたしは紅葉を求めて信州の山間を訪れていた。夏の暑さが幸いしたのか、燃えるような紅葉が連なる山々を赤や黄色に染めていた。
そのとき、一人の女性と出会った。彼女は絵画が趣味でスケッチ旅行に来ているという。
俳句と絵。趣味は違えども、言葉や絵の具でおおらかな大自然を描き出すのは同じこと。早速意気投合し、あれこれ話をしはじめた。
聞くところによると、彼女は4年前に夫を亡くした寡婦。わたしも6年前に家内を亡くしている。年齢を聞くことはできなかったが、同じくらいの世代だろう。話の内容から、それがわかる。
それでも、スケッチ用の荷物をかつぎ、風光明媚な場所を求めてあちこち出歩いているからだろうか、ピチピチしたとは言いがたいが、それとなく華やいだ雰囲気を持っている。
彼女に好意をいだいてしまったわたしは、それとなく宿の場所などを聞いてしまった。すると、日帰りのつもりで予定を立てているという。別に早く帰らないといけない理由はないが、この歳になっても女の一人旅は敬遠されるらしい。
わたしは思いきって同宿を誘ってみた。すると、彼女は恥ずかしそうにはにかみながらこう言った。
「いいんですか、わたしみたいな年寄りで」
その姿が愛らしく、わたしは久々に胸のときめきをおぼえた。
川のせせらぎが聞こえるひなびた温泉旅館をわたしは予約していて、予定が変わって連れが増えたことを宿の番頭に伝えた。番頭は慇懃に承諾し、わたしたちを奥に案内した。
女性と二人きりでひとつの部屋に泊まることなど何年ぶりだろう。わたしは感慨深げに彼女の様子をうかがった。
彼女も同じようなことを考えているのか、荷物を整理しながら、ときおりわたしのほうを見る。その羞恥を含んだ表情が、少女のように可憐に思える。
わたしは心の中で死んだ女房に手を合わせ、その日の夜にほのかな期待を抱いてしまうのだった。
大浴場の温泉に別々でつかり、部屋に戻って差し向かいで食事をとった。
浴衣に着替えた彼女は、昼間のはつらつとした格好と違い、たおやかな雰囲気を醸し出している。妖艶と言い換えてもいいほどの色香がほんのりと立ちのぼり、わたしは照れくささも手伝って、思わず晩酌の杯を重ねてしまう。
「あなたも1杯どうです」
「あら、いんですか?」
「遠慮しないで」
「それでは」
差し出す銚子に猪口を合わせ、杯の底に手を添えながら、彼女は一気に飲み干す。
「みごとなもんだ。なかなかいける口で」
「ええ、お酒は大好き。けれど、息子夫婦と同居の身ですから、あまり贅沢も言えなくて」
「なにを言う。わたしたちは子どもたちのために、それこそ身を削る思いで生きてきたんだ。なんの遠慮があるものか」
「そ、そうですよね」
「ささ、もう1杯」
杯を重ねるごとに、彼女の頬はうっすらと色づき、ますます色っぽさが増してくる。わたしはとりとめない話しで、場と自分をごまかしながら、うずうずとした感触が下半身から立ちのぼってくるのをこらえていた。
食事を終え、もう一度風呂に入ったわたしが部屋に戻ると、床の支度が整い、彼女は窓際に足を崩して座っていた。
浴衣の裾から細い足首とかかとが見え、ふくらはぎの辺りもかすかに顔をのぞかせている。むき出しのうなじに、ほつれたおくれ毛。わたしは声をかけるのも忘れ、呆然と立ちつくしてしまった。
「あら、お戻りでしたの」
「あ、はい……、あ、あなたもお風呂」
「いえ、わたしは」
彼女はほぐれた髪を指で直しながら言う。
「ちょっと、酔っぱらっちゃったみたいだから」
わたしはわき起こる切情をこらえきれず、彼女にのしかかっていった。
「あれ、なにを……」
「こうしてるだけでいいんです。こうしているだけで」
わたしは彼女の華奢な身体を抱きしめて言う。
「本当に?」
「はい」
「いえ、本当に、抱きしめるだけでいいんですか?」
わたしは思わず彼女の表情を見つめてしまう。彼女は潤んだひとみでわたしを見つめ、身体を押しつけてきた。
「いいんですよ。わたしは……」
彼女の体温が薄衣を通して、じかに伝わってくる。甘い芳香が身体の芯を揺さぶりはじめる。
わたしは思わず唇を重ねた。彼女もそれにこたえてくれ、わたしたちは濃厚な接吻を交わす。
そのままわたしは浴衣の襟から手を差し伸べ、なめらかな感触の乳房に触れる。乳首も固く、豊満だとは言いがたいが、人生の酸いも甘いもかみしめた芳醇さが感じられる。
「あ、明かりを消してください」
乱れた衣装を気にしながら彼女は言う。わたしは電気を消し、二人は抱き合ったまま布団に入った。
それからわたしは、彼女の衣装をすべてはぎ取り、あお向けになった裸体を味わいはじめる。舌に心地よい刺激が伝わり、わたしの感情は頂点に差しかかる。
しかし、どうしたことか、彼女の部分はまったく潤う気配を見せなかった。
興奮はしている。心の準備も整っているはずだ。けれど、いくら指でいじくろうと舌で舐り続けようと、あのねっとりとした感触は伝わってこない。
「あん、いけません」
彼女は言うが、いけませんなのは、こっちのほうだ。わたしはそう思いながらも、挿入をこころみる。
「痛い!」
先が肉裂をかき分けるだけで、彼女は苦痛を表に出す。
「だめなのか?」
「い、いえ、少し……」
恥ずかしそうに彼女は言う。
わたしはふたたび、念入りに愛撫を繰り返すが、やはり変化は生じない。そのうち、わたしのほうが、居ても立ってもいられなくなり、強引なつらぬきをこころみる。
「痛い、痛い!」
なんとか中には入ったが、腰を振るたびに彼女は痛みを訴える。
わたしは興ざめし、彼女も気が入らなくなり、行為はそのまま中断してしまった。
明くる朝、わたしたちは満足に口もきかず宿を出た。駅に着くまでの途中、バスの中でも同じことだった。
駅の待合室でわたしは上りの電車を待ち、彼女は下りを待っていた。そのとき彼女は、ぽつりと言った。
「ごめんなさい」
わたしは、おどろきながら彼女を見る。
「わたしは女として終わってるんです。男の人を悦ばせることもできないなんて」
「そんな……」
「もう二度とお会いすることはないと思います。それでは」
下りの電車がホームに到着し、彼女は改札に向かう。
「あ、あの……」
わたしは思わず呼び止める。
「連絡先を……」
彼女は首を横に振り、にっこりほほ笑むと振り返りもせずに姿を消した。
その後、彼女とは出会っていない。もちろん、連絡も取り合っていない。あのとき、もっと自分を唾で濡らせば、せめてローションを持っていれば、と悔やまれる。
しかし、冬が過ぎ、春が来れば、彼女がスケッチに訪れそうなところをたずね歩くつもりだ。もう一度、会えることを願いながら。
たずね来て 我が身を燃やす 紅葉かな
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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