Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【性奴隷になった令夫人】
Y・S 63歳 神奈川県在住
定年になるまで銀行に勤めていた。出世に縁がなくて重役にまでたどりつくことはできなかったが、家族にも恵まれ、まあまあいい人生が送れたと思っている。仕事はそんな調子だったが、それ以外に、わたしは稀有な経験をしている。それはこの歳になった今も続き、定年後の空いた時間を有効に使っている。いまから、その経緯を記そうと思う。
それは50代半ばのころ。外交員として外回りをしていたわたしは、時間稼ぎに入った書店で一人の女性を見つけた。
「あれは……」
サングラスをかけ、目深に帽子をかぶっていたが、それは間違いなく、得意先の奥さんだった。
顧客であるだんなは、運送会社の社長。不況の折でも業績はよく、そのうえ先代から受け継いだ資産もあり、当行にとっては上得意のひとつだった。そして妻である奥さんは、気品の漂う麗人。そのときも、きらびやかなワンピースを身につけたたずんでいた。その姿は、周囲の空気すら彩るようなあでやかさに満ちていた。
「ごぶさたしております」
わたしは声をかけた。その拍子に、驚いた奥さんは手にしていた雑誌を床に落とす。
わたしはかがんで拾いあげる。そして、その中身を見て驚きを覚えた。
文芸雑誌のコーナーにおかれてはいたものの、内容はSMを主体とした小説誌。しかも写真が多く掲載されている代物だった。
バツの悪さを感じたのか、奥さんは黙ってその場から立ち去ろうとした。
「待ってくださいよ」
わたしは呼び止めた。
「買わないんですか?」
その言葉に、奥さんはサングラス越しにわたしを見る。
「じゃあ、わたしが買いますよ」
「え?」
「実は、わたしもSMには興味があるんですよ」
そのとき、隠されたひとみの眼光が、キラリと光ったような気がした。
「奥さん、よろしければ語り合いませんか」
「語り合う?」
「そう、同じ趣味を持ったもの同士」
思い切り拒否されるか、もしくは無視されるかと思ったものの、意外にも彼女は素直にうなずいてくれた。そこでわたしは、せっかくだからとその雑誌を購入し、そして近くの喫茶店に場を移したのであった。
店の中でも、奥さんはサングラスと帽子をつけたままだった。それはわたしにとっても好都合なので、気にせずホットコーヒーを、彼女は紅茶を注文した。
「しかし驚きです。奥さんのような人が、あの手の本に興味があるだなんて」
「わたしはダメなの?」
「いや、そういうわけじゃないんですが」
「じゃあ、どういう意味?」
高飛車な態度。ひょっとして、彼女はSなのかもしれないと考える。それならちょっと厄介だ。わたしに、いじめられてよろこぶ趣味はない。
「端的にお聞きします。奥さんはSなんですかMなんですか?」
「それを聞いてどうするの?」
「わたしはSなんです。女性の柔肌に食い込む荒縄の様子だとか、苦悶にゆがむ表情に興奮するんです」
「どうして?」
「どうしてなんでしょう。たぶん、人がモノに変化する様子が好きなのかもしれません」
「モノは表情を変えないわよ」
「それは、そうですね」
「Sっ気のある人は、過去にしいたげられていた記憶があって、それを解消しているのかもしれない。もしくは自己顕示欲が強いとか」
「自己顕示欲?」
「そう、もっと自分を知って、もっと自分を見てっていう欲求」
「それは逆じゃないんですか?」
「いいえ、その欲求が溜まると、強制的に自分を認めさせようとするんだわ。だから暴力で興奮する」
「SMの暴力と一般的に言われている暴力は違いますよ」
「どこが? なにが?」
「そうですね」
わたしは、少し間をおいて言う。
「愛です」
その瞬間、奥さんは吹きだした。そして口もとを押さえ、ケラケラ笑う。
たしは真剣に語ったつもりだった。しかし、これで彼女の警戒心が解けるのなら、それはそれでいい。
「その、愛っていう根拠はなに?」
「そうですね。まずひとつは、女性を恨みもしないし、傷つけようとも思わない。確かにムチで肌を赤く染めたり、ロープであざをつけたりはありますけど、血は流させない」
「それはおかしい」
「どうしてですか?」
「究極のMは殺されることよ。傷つき、のたうちながら快楽を感じるの」
「では、奥さんも?」
「わたしは、そこまでハードじゃない」
彼女はそういって、カップを口に運ぶ。
「わたしはなにもかもを忘れたいの。感情だけに溺れる物体になりたいの。その点では、あなたのいうモノに近いかもしれない」
「痛みのなかで理性を忘れる」
「そうね、痛みと屈辱でリフレッシュしたいのかも」
「リフレッシュとはまた、健康的な」
「ねえ、いまはお仕事の途中?」
「はい。しかし、時間に余裕はあります」
「それなら」
奥さんはサングラスをはずした。
「試してみない?」
「え!」
「アナタだったら信用できそうな気がする」
それから、わたしたちはラブホテルに向かった。とはいうものの、SMプレイをするんだから、それなりの道具がそろっているホテルでないと無理だ。それは買った雑誌で情報を得、広告の載っていたところへ赴いた。
高慢な態度をとってはいるが、奥さんは、SMはもちろん、その手のホテルに入るのも初めてらしい。
わたしもラブホテルの経験はあるが、SMプレイは初めてだ。緊張しながら部屋を選び、エレベーターに乗る。入ったところは黒い壁に赤い装飾が施され、おどろおどろしいムードに包まれていた。
「じゃあ、わたしはシャワーを」
そういって浴室ヘ行こうとした瞬間であった。彼女はわたしの腕をつかんで引き止めた。
「いかないで、一人にしないで」
その表情は、いままで見せたことのない、頼りなげではかないものだった。
「このままでいい、このままでいいから」
「でも、汗かいてますよ。それにきのうは帰りが遅くて、風呂にも入ってません」
「いいの」
彼女はひざまずくと、いきなりわたしのズボンをおろした。そして、いまだ力のこもらない一物に舌をはわせはじめる。
「お、奥さん」
「お願い、なにもかも忘れさせて。わたしをあなたのおもちゃにして」
いまにも泣き出しそうな声で彼女は哀願する。こうなれば、わたしも嫌いな方ではない。
わたしは、とりあえず彼女を縛りつけることにした。両手首に革製の手錠をはめ、足首もロープでひとつにする。帽子はもちろん、ワンピースも下着も脱いだ彼女は、長い髪を乱しながら身体を前に折る。わたしはほくそ笑み、彼女を足蹴にする。ダルマのように転がった彼女は、それでも抵抗をしめさない。
「じゃあ、さっきのつづきをしてくれ」
わたしは彼女の髪をつかんで身を起こさせ、十分そそり立った一物を顔面に当てた。
アンモニアと汗の臭いがする股間に、彼女は顔をうずめた。赤い口紅で彩られた唇に、わたしの一物が埋没する。
「そうだ、もっとだ」
口だけでわたしを愛撫する彼女。わたしはその髪の毛をつかみ、奥へ奥へと腰を振る。苦しそうにうめきながらも、彼女ははなそうとしない。わたしは彼女の頭を押さえつけ、乱暴に抜き差しを繰り返し、そのまま精を吐き出したのであった。
その後、ロープで全身を縛り、ベッドの上に放置した。意外とむっちりとした体躯にロープが食い込む姿は、淫靡でエロチックだ。最初の射精で余裕のあるわたしは、まんじりとロープの隙間から飛び出る乳房や、あからさまな陰部を見つめる。
「だめ、恥ずかしい。お願い、お願いします」
身がうずき、愛撫や挿入を望んでいても、何もされない屈辱に彼女は耐えかねたらしい。
「お願い! このままじゃあ、変になるぅ!」
「じゃあ、まずはこれだ」
わたしは巨大な大人の玩具を取り出した。そして脚のロープをはずし、両脚を大きくひろげると、濡れそぼった割れ目に挿入する。奥までめり込み、うごめく感触に、彼女は大きく身をのけ反らせて喘いだ。
「やあああん、だめぇ!」
その後、いろんな玩具で彼女をいたぶる。もちろん、両手の自由は奪ったまま。全身には縄が食い込んでいる。
彼女の身体は興奮と羞恥で赤く染まり、汗がにじみ出て髪の毛が顔に張りつく。
「お願い、もう、気が狂っちゃう」
「本物が欲しいか」
「欲しい、欲しいの」
「じゃあ」
わたしは彼女を縛ったまま前のめりにし、そのまま背後から貫き通したのであった。
その行為が気に入ったのか、それともくすぶっていた思いに火をつけてしまったのか、彼女はことあるごとに、わたしを誘ってきた。貴婦人を玩弄するよろこびをわたしも感じ取っていたので、断ることなどない。プレイはエスカレートし、ムチにロウソク、そして先を鈍くした千枚通しも用いるようになっていた。
「もう、わたし、逃げられない」
「オレもだ」
「これからもずっとね、わたしが死ぬまでずっと」
その言葉通り、いまも関係は続いている。しかし、これ以上になると、本当に彼女はよろこび、絶頂に達しながら、命を落としてしまうかもしれない。そのときわたしはどう対処すればいいのだろう。少し不安に思っている。
【選者紹介】
長月タケオ(ながつきたけお)
1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)
ほか
長月タケオ『誘惑する女 熟女たちの悦楽』
電子書籍のお求めはコチラ
【中高年の性告白バックナンバー】
◀【二人でやってきたご夫人と3人戯】
◀【未亡人の貪乱な舌使い】
◀【バイブを隠し持っていた女房】
◀【愛液こそ回春の妙薬】
◀【勃起薬を飲む時間を間違えてチャンスを逃す】
◀【生徒の母に誘惑された新米教師】
◀【本気で娼婦を愛してしまい散財したわたし】
◀【かつて憧れた美人妻によく似た娼婦を抱く】
◀【記憶にない絶頂で従順になった高慢OL】
◀【女の貪欲さを見せた年増ホステス】
◀【武道館で出会った清楚で淫乱な少女】
◀【レズ女二人のおもちゃにされた出張の夜】
◀【泥酔した娘を悪戯したわたしの後悔】
◀【5年ぶりに再会した元妻との懐古SEX】
◀【母親のほうが魅力的だった若気の至り】
◀【古希過ぎのわたしをよみがえらせてくれた淫乱娘】
◀【電動バイブを持ち込んだ夜から夫婦円満】
◀【間違いを犯さぬための風俗通い】
◀【フーテン時代のわたしに妻を抱かせた紳士】
◀【ピンサロで豪遊4Pの結果、無一文に!】
◀【兄が助っ人をしてくれて無事に挿入】
◀【女体の味を教えてくれた10歳年上の叔母】
◀【旅先で出会った一夜限りの古風な五十路女】
◀【夜の世話までしてくれる元ホステスの居候】
◀【黄金水を飲んで興奮してしまう倒錯の性衝動】
◀【淫乱OLと穴兄弟になった同期社員5人】
◀【マセた幼馴染の少女に誘われて】
◀【わたしをセックスの虜にした年増看護婦】
◀【夫に頼まれて人妻を抱いた旅の宿】
◀【ウソでだまして美女をモノにしたわたしの後悔】
◀【となりに越してきた若夫婦の痴態をのぞき見して回春】
◀【パソコンを習い始めたわたしが先生に抱いた妄想】
◀【ムチでぶたれ、ロウを垂らされて歓ぶいかず後家】
◀【同級生の女の子に口で気持ちよくしてもらった15の夏】
◀【尻穴を舐ってくれる風俗嬢にぞっこん】
◀【息子の嫁を襲ってしまったバブル時代の悪夢】
◀【板前のわたしが酔った女将から受けた誘惑】
◀【1万円で中出しをせがんだ早イキの援助交際熟女】
◀【大学生のわたしが家出少女と過ごした甘美な10日間】
◀【洗濯屋のわたしと、いきなり迫ってきた若奥さまとの密かな悦楽】
◀【還暦を過ぎて悟ったオッパイの魅力】
◀「EDになったわたしに真実のよろこびを教えてくれた愛人」
この記事の画像
関連キーワード
Linkage
関連記事
-
【ネオン街ニュース】自粛要請でキャバ嬢やホストは何をしてる…
-
昭和官能エレジー「純情ホステスの純愛芝居」長月猛夫
-
長月タケオ選「中高年の性告白」第96回和歌山県在住Y・Mさ…
-
シニアのための夜の会話術 第11回「会話がダメなら身振りで…
-
【ネオン街ニュース】居酒屋「朝5時からの営業」で東京都全域…
-
【ネオン街ニュース】コロナでも風俗業界が休業できなかった本…
-
全国47都道府県別「SEXできる!」30~40代の見分け方
-
長月タケオ選「中高年の性告白」第95回 兵庫県在住M・Yさ…
-
シニアのための夜の会話術 第10回「本当はエロいことわざ遊…
-
シニアのための夜の会話術 第9回「最後には食う男が勝つ」
-
あの週刊大衆が完全バックアップした全国の優良店を紹介するサイト