最近、物忘れが増えてきたという方はぜひご一読を。楽しく、気持ちよくボケから身を守る方法をご紹介！

厚生労働省によると、認知症とみられる患者は全国に４６２万人（２０１２年調査）。１０年後には、これが７００万人を超えるという。６５歳以上の高齢者の５人に１人が認知症という計算になるが、そんな急増中の認知症を防ぐためには、どうすればいいのか？

実は、この“特効薬”がセックスだという研究報告が相次いでいるのだ。
「米国のプリンストン大学で、ラットを“毎日交尾をする”グループと“２週間に１度”のグループに分けて脳神経の様子を観察したところ、毎日のグループは神経回路が成長していることが分かったのです」（医療ジャーナリスト）

また、米国・メリーランド大学の研究者は、ラットが交尾を始めた途端、オス、メスともに記憶力と関係が深い「海馬」の働きが活発になり、その神経細胞が増加したと報告している。
「交尾によって、脳神経が成長するのは人も同じなんです。イタリアのパヴィア大学が“恋愛初期の人”“長く交際中のパートナーがいる人”、そして“セックスのパートナーがいない人”の３グループに分けて脳神経を調べると、セックスの頻度が多い“恋愛初期”グループが最も脳神経の成長レベルが高かったのです」（前同）

中高年になっても異性への関心を失わず、セックスをしていれば、認知症になるどころか、むしろ神経回路が新たに作られ、脳が若返るというわけだ。
ちなみに、脳の神経細胞は生まれて５年ぐらいで２０００億個まで増えるが、他の細胞と違って分裂や再生することはなく、２０歳前後から１日に１０万個ずつ死滅するといわれている。これがセックスで蘇るなら、しめたもの。

セックスすると、なぜ脳細胞が若返るのか。美容とアンチエイジングに詳しい医師の山下真理子氏は、こう解説してくれた。
「セックスが脳にいい理由はいくつかありますが、その一つが、性ホルモンの効果です」
たとえば、ある女性に好意を持ち、セックスに気持ちが向かうと、脳の中でも性行動や情動を司る視床下部という部位がピピッと反応して、性ホルモンの分泌を促す。

男性の場合、テストステロンというホルモンで、意欲を喚起させる働きがある。意欲が高まると、これを実現させようと脳の働きが活発になってゆく。これが格好の認知症予防になるというのだ。
ちなみに、加齢性の認知症は、大きく２つに分けられる。ひとつは脳神経にアミロイドβなどのタンパク質が絡みつくアルツハイマー型。もうひとつは動脈硬化などによって脳血管が詰まり、その先の脳神経が死滅する脳血管型だが、いずれも脳血流の低下が原因だといわれている。

「動脈硬化を防ぎ、脳血流を低下させないためにも運動が必要なんですが、セックスは、この面でもプラスになります」
こう話すのは、『ボケてはいけない』（早稲田教育出版）などの著書があり、認知症に詳しい『よこはま土田メディカルクリニック』院長の土田隆氏だ。
「セックスは体位を変えることで、有酸素運動と無酸素運動が、両方とも可能になります。動脈硬化を防ぎ、脳血流を上げることができ、しかも楽しくできる運動と言えます」
有酸素運動は相手の体を撫でたりするとき。無酸素運動は腰を激しく動かすときにしているという。

さらに、セックスでは、女性のお尻を持って腰を前後に振る、あるいは女性を上に乗せてブリッジに近い格好をするなど、普段はしないさまざまな姿勢を取ることになる。
「普段はあまり使わない筋肉を使うため、脳もいつもと違う働き方をしなくてはならず、刺激を与えることになります。脳に“いつもと違うことをさせる”のは格好の脳トレになるのです」（前出のジャーナリスト）

また、不眠症からうつ気味になり、認知症のきっかけを作ってしまうこともあるのだが、セックスは「最良の睡眠薬」にもなる。
「人が眠りに入るとき、気持ちが張り詰めた交感神経優位の状態から、リラックスした副交感神経優位の状態に切り替わります。この落差が眠りを誘うんですが、交感神経優位の状態を作るのがセックスです。そしてセックスが終わると、そのままベッドで眠ることができます。言ってみれば、セックスは自然な眠りが得られる最良の方法と言えます」（前出の土田院長）

特に男性は射精したあと、眠気が襲ってくるように、一気に交感神経と副交感神経が切り替わる。終わってもしばらくは余韻が残る女性よりもセックスによる睡眠薬効果が高いと言える。