これは私が「変わった性癖を持つ熟女」の取材をしていた時の話です。

あれは今から５、６年前のことだったでしょうか……。

人づてに「すさまじい特異体質を持ったマダムがいる」という情報を入手した私は、とるものも取らずにそのマダムに会いに行きました。

待ち合わせ場所は渋谷のマック（マクド）。

もちろん、これは先方が指定してきた場所です。

そもそも、もし私が場所を指定することができたならば、絶対に「渋谷のマック（マクド）」は選びません。

なぜなら若者ばかりの街だということに加えて、渋谷にはマック（マクド）が腰を抜かすほどたくさんあるからです。

おっさんとマダムが逢引きをすれば、かなり目立ちますし、どのマック（マクド）が正しい待ち合わせ場所なのかも皆目検討がつきません。

また、それ以前に「変わった性癖を持つ熟女」の取材場所として「笑顔０円」の同店は極めて不向きです。

しかもマダムからは「駅前のマック」という指示しか受けていません。

取材当日、私は交番のお巡りさんに「マックの場所」をすべて聞き出し、シラミつぶしに当たることにいたしました。

しかし、大方の予想を裏切り、お目当てのマダムはすぐに見つかりました。

偶然にも一軒目に入ったマック（マクド）の中に、その場の雰囲気にはとても似つかわしくない熟女が異様なオーラを放ちながら鎮座していたのです。

店内はかなり混雑しているにも関わらず、心なしか熟女の周囲だけは亜空間が広がっております。

声をかけてみると案の定、私の取材対象のマダムでした。

年の頃は50代半ば。金ぶちの上品なメガネをかけており髪型はショートカット。

お顔立ちだけを見れば、まるで大学の国文科の女性教授のようです。

ただ、御召し物のほうは、かなりヤバいことになっておりました。

なにしろ、全身が「ブランドづくめ」なのです。

実際、マダムときたら頭の先から爪先まで、すべてが有名ブランドに包まれています。

しかもバックには大きく「H」のマーク！　見た目はピンクローターしか入らないような大きさですが、おそらく私の月収よりも高いシロモノでしょう。

もはや渋谷のマック（マクド）に降臨した「場違いの大金持ち」を目の前にして、私は早くも脱糞寸前です。

果たして、このマダムはどんな「特異体質」を持っているというのでしょうか。

お伺いしてみると、マダムったら、こんなことをのたまうのです。

「私、クリトリスで占いができるんです」

嗚呼、この方は渋谷のドン真ん中でいったい何を言っているのでしょう。

私も長いこと「変人」を取材してきましたが、クリトリスで呪術ができる女性はみたことがありません。

さらに詳しく聞くと、とんでもない事実まで発覚してしまいました。

なんでもマダムによれば、相手にクリトリスを押しつけるだけで、その人の過去も未来もわかるというのです。

あわわわわっ。セックスの最中に過去や未来のことをあれこれ言われたら、男はたまったものじゃありません。

案の定、マダムは現在「バツ４」だと言います。

あまり考えたくはありませんが、ひょっとしてマダムの全身は4人の男たちの「慰謝料」で構築されているのではないでしょうか。

クワバラクワバラつるかめつるかめっ！

心の中で魔除の呪文を唱えている私に、マダムはさらなる「追い討ち」をかけます。

こともあろうにマダムは初対面の私にこんなことを言い放ったのです。

「あなた、失礼ながらアッチのほうは月並みか、それ以下でしょう？」

ひーーーーーーっ！ ナンマンダブナンマンダブ。

確かに当たっていますが、失礼千万。しかも勝手に他人のチ◯コのことを言い当てるなんて不届きなことこの上ありません。

しかしながら、いったいなぜマダムは「私のチ◯コの様子」がわかったのでしょうか？

「私のクリトリスはね、15センチ以上のチンポを持つ人に近づくと勝手にピクピクするのよ。だからあなたはそれ以下ね（微笑）」（byマダム）

結局薬局「変わった性癖を持つ熟女」の取材は変なマダムに私が「粗チン」を言い当てられただけで終わってしまったのでした。