アダルトサイトの取材をしていると5回に１回ぐらいは様子のおかしい女性に巡り合うことがあります。

その婦人も会った瞬間から、ただならぬ雰囲気を醸し出しておりました。

なにしろ、全身から「猫の小便の匂い」を漂わせているのです。

年の頃は40代の後半でしょうか。

身なりはきちんとしているのですが、婦人が動くたびに猫の小便の匂いが鼻腔をくすぐります。

一瞬「メイドインパリの新しい香水なのか？」とも思いましたが、その香りはどう考えても「男性を魅了するフレグレンス」とはほど遠いような気がします。

いやむしろ、確実に男性を遠ざける匂いです。

こうなってくると、エロい取材どころではありません。

だってそうでしょう。

なぜ、婦人が私と会うのに猫の小便をつけてきたのか気になって気になって仕方がないではありませんか。

恐る恐る婦人に「猫ちゃんをお飼いになっているんですか？」と猫撫で声で聞いてみますと、案の定「猫を４匹飼っています」などとおっしゃいます。

もはや、婦人が身に着けている香水が猫の小便であることに疑いの余地はありません。

しかし、猫４匹とはかなりの「多頭飼い」です。

よっぽど猫ちゃんがお好きなのだろうと、その辺のところをお伺いしますと、これまた珍妙な答えが返ってきました。

「昔から猫は家の守り神と言われていますから、東西南北に置いて家を守ろうと思いまして……」

いやいや、ちょっと待ってください。そもそも猫ってビシッと東西南北に配置できる動物なんでしょうか。いえいえ、むしろ逆です。猫ほど自由奔放な生き物はおりません。

ツッコミどころは満載ですが、このまま猫の話をしていても埒が明きません。ふーんと適当な相槌を打って、ようやく「下半身事情」の取材に入ります。

しかし、ここでまた婦人が妙なことを言い出すのです。

「あの、私今日、パンツ履いて来なかったんですけど……」

嗚呼、一体全体、今私の目の前では何が起こっているというのでしょう。

こともあろうに、この婦人は体じゅうに猫の小便はつけてきても、家からここまで肝心のパンツを履いてこなかったというのです。よもや淑女の風上にも置けません。

愕然としながらも「ノーパン」の理由を聞くと、こんな答えが返ってまいりました。

「下半身事情の取材だと聞いておりましたので……」

ええ、確かにそうです。それ自体は間違っておりません。

しかし私は婦人の「性生活の話」を聞きたかったわけで、何も直接マ◯コを見たいわけではないのです。

これは困ったことになりました。

しかも婦人は私に「タイヘンなもの」を見せる気満々です。

なんとかその場を取り繕って騙し騙し取材を進めておりましたが、小便の匂いと極度の緊張のために、今度は私のほうに非常事態が起きてしまいました。

なんと、取材中にも関わらず、屁がしたくてたまらなくなってしまったのです。

もはや口を開くと肛門まで開きそうな状態です。

辛抱たまらなくなった私は、肛門に「ラマーズ法」を採用し、屁を小出しにして放出することに決定しました。

スピッ、スピッ、スー……。スピッ、スピッ、スー……。

するとどうでしょう。

婦人が眉間にシワを寄せながらこんなことをのたまうのです。

「あらいやだ、なんだか犬のう◯この匂いがしますわ。どこから漂ってくるんでしょう」

結局薬局、猫の小便と犬のクソのおかげで、その日の取材はすべて壊滅。

唯一の救いは犬のう◯この匂いのおかげで婦人が人前でタイヘンなものを出さずに済んだことでしょう。

いやはや、これだから熟女の取材はやめられないのです。

文責：編集長原田