ＰＡＲＴ.２　治療薬か手術か？まずは「セルフチェック」してみよう！

「ねえ、早く来てぇ」と甘い声で誘われたはいいが、肝心の“モノ”が硬くならなかった、途中で萎えてしまった――こんな経験がある人は、まず左のセルフチェックをしていただきたい。

５つの質問で自分の状態を知ろう！EDセルフチェック表

（過去６か月の性行為について回答）

質問①勃起した状態を維持する自信度は、どのくらいありますか？

１点）非常に低い

２点）低い

３点）中くらい

４点）高い

５点）非常に高い

質問②性的刺激によって勃起した際、挿入可能な硬さになりましたか？

１点）ほぼ、または、まったくならなかった

２点）ごくまれになった（回数で言うと４回に２回未満、かなり低い頻度）

３点）ときどき、なった（回数で言うと半分程度）

４点）しばしば、なった（回数で言うと半分よりも高い頻度）

５点）ほぼ、または、いつもなった

質問③性交で挿入した際、勃起状態を維持できましたか？

１点）ほぼ、または、まったく維持できなかった

２点）ごくまれに維持できた（回数で言うと半分以下、かなり低い頻度）

３点）ときどき、できた（回数で言うと半分程度）

４点）しばしば、維持できた（回数で言うと半分よりも高い頻度）

５点）ほぼ、または、いつも維持できた

質問④性交の際に、性交が終わるまで勃起状態を維持することは難しいですか？

１点）極めて難しい

２点）かなり難しい

３点）難しい

４点）やや難しい

５点）難しくはない

質問⑤性交を試みた際、どのくらいの頻度で性交に満足できましたか？

１点）ほぼ、または、まったく満足できなかった

２点）ごくまれに満足できた（回数で言うと半分以下、かなり低い頻度）

３点）ときどき満足できた（回数で言うと半分程度）

４点）しばしば満足できた（回数で言うと半分よりも高い頻度）

５点）ほぼ、または、いつも満足できた

各質問のスコアを合計！

22‐25点：EDなし

17‐21点：軽度ED

12‐16点：軽度ないし中等度ED

８‐11点：中等度ED

５‐７点：重症ED

※国際勃起機能スコア（IIEF短縮版）に基づく質問票を参考に本誌で作成。あくまで、このチェック表は参考です。気になる方は専門医の受診をお勧めします。

　これは国際的なＥＤ問診表だが、合格（21点）どころか、その半分にも届かなかったという人も、少なくないのではないだろうか。しかし、ここで「もうオトコは卒業かな……」などと諦めてはいけない。　ＥＤ治療に詳しい獨協医科大学の小堀善友・リプロダクションセンター准教授（泌尿器科専門医）が、次のように解説する。

　「高齢になっても異性やセックスに関心を持ち続けることは、心身の健康を保つうえでも大切です。勃起不全が、その妨げになっている人はぜひ、専門医に相談してください」　前項で心因性が多いと紹介したものの、やっぱり頼りになるのは医者だ。ＥＤを扱うのは泌尿器科で、受診すれば、その原因と対処法を示してくれる。「中高年のＥＤは、血流（動脈硬化など）と神経（糖尿病などによる神経障害など）が主因。この他にも、服用薬によるケースなどもあります」（前同）

　たとえば、ある種の抗うつ剤や血圧降下剤、前立腺肥大症治療薬などは、ＥＤのきっかけになるが、こうした薬剤を別のものに替えるだけで「一発解消」する場合もあるのだ。　ちなみに、ＥＤの診察で男性器を視診することはまずない。恥ずかしがらずに泌尿器科専門クリニックを受診すること。これが生涯現役を保つ第一歩となる。

　さて、ＥＤと診断された患者には薬が処方される。特に有名なのは、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の“三種の神薬”だろう。　こうしたＥＤ改善薬は、ニトログリセリンなどの血管拡張剤との併用こそＮＧだが、もともと血流を良くして心臓の働きを助ける“心血管薬”として開発されたため、大きな副作用がないのが特徴。また、７～８割の患者に効果があるといわれている。だが、いくつか注意点がある（左上の表参照）。

「シアリスは効果の発現が他の２つより多少遅めなんですが、食事の影響をあまり受けません。一方、バイアグラやレビトラは、食後に服用すると効果が低下してしまいます」（同）　また、患者によってはバイアグラがダメで、シアリスが効いたというケースもある。「薬の効果がない場合は、他の２つを試すことも大切です」（同）

　ＥＤ改善薬で効果がなかった人は、次の段階の治療へと移ることになる。「日本性機能学会などがまとめた『ＥＤ診療ガイドライン』では、ＥＤ改善薬に続く治療法として“海綿体注射”と“陰圧式勃起補助具”が推奨されています」（医療ジャーナリスト）「海綿体注射」とは、男性器に血管を広げる作用がある薬剤（プロスタグランジンＥ１）を注射する方法。血管を半ば強制的に拡張させ、意識せずに勃起させることが可能。自己注射で、効果時間は２時間程度だ。

「東邦大学の臨床研究では、ＥＤ改善薬が効かなかった患者64人（23～84歳）に対し、77％に効果があったといいます」（前同）　これは海外では普及している治療法だが、日本ではまだ認可されていない。医師と相談しながら、自己責任で行うことが前提となる。

　もう一つの「陰圧式勃起補助具」は、性器に真空ポンプを装着し、海綿体に血液を誘導。十分硬くなったところでゴムバンドをはめて、勃起を持続させるというものだ。10分ほどの操作で、挿入可能な時間は30分程度。厚生労働省が認可済みの機材も存在する。

　そして、この二つの治療でも勃起できない患者に提案されるのが「プロステーシス手術」だ。　これは、男性器に棒状の器具（プロステーシス）を埋め込む手術。器具は曲げ伸ばしが自在にできるタイプや、必要なときに膨らませるタイプがあり、それぞれ厚労省が承認している。　手術では射精管や神経を温存するため、射精や性感が保て、いつでも確実に勃起できるという利点がある。「重度の糖尿病患者でも勃起が可能。最近は日帰り手術もできるようになっています」（前出の小堀氏）

　さて最近では、これらの治療に加え、低強度の衝撃波を与える医療器機（ＥＤ１０００）で治療を行うＥＤ専門クリニックもある。　これは加齢などで萎縮したペニスの血管に、外から低周波をぶつけて新生血管を再生させる方法。十数回の通院が必要だが、痛みはほとんどないという。「費用が40万円ぐらいと少し高いんですが、これも一つのＥＤ改善法だと思います」（前同）

　また、加齢による男性ホルモン分泌の低減が見られる患者には、男性ホルモンの補充療法が取られることもある。「この補充療法で、ＥＤ改善薬の有効性が高まったという研究もあります。これもトライする価値がある治療法だと思います」（同）

　簡単に諦めず、さまざまな治療法を駆使して、とことん頑張りましょう！