――その経験を経て、それまでマイペースだった気分は変わりましたか？

「そうですね。だいぶ変わりました。みんな女優としてやっていくことに本気だと分かって、自分はこのままではダメだなって思い、AVについて必死に勉強しはじめました」

――デビュー前はAVをあまり観ていなかったんですか？

「全然観ていなくて、メーカーさんに営業に行く時、『どの女優さんが好きですか？』って聞かれるんですけど、女優さんの名前を誰も知らなくて、『ちょっと分かんないです』みたいな受け答えをしていたんです。それでデビュー作の台本をもらった時に、『男優しみけん』って書いてあったんですよ。その『しみけん』って言葉がパンティーの『しみ』の『検査』かと思ったんです」

――ははは（大爆笑）。男優の名前とは知らずに(笑)。

「しみけんさんが誰か分からなかったんです」

――それは面白すぎます(笑)。

「それくらいAVについてなにも分からなかったんです」

――いい話だ(笑)。「パンティーのしみ具合を検査する＝しみけん」ですか。

「そうなんです」

――最初はそれくらいの知識と意識でしたが人気がグングン上がりました！

「それが実はデビュー後、忙しくない方向に行きました」

――「忙しくない方向」とは、つまり、あまり売れなかったということですか？

「エロくもないし、淫語も出てこないし、表現力もないし、ダメだったんです」

――順調に売れていると思いましたよ。

「実は忙しい時期の方が短いんです」

――意外です。でも、名前はみなさん知っていました。

「大きいメーカーの作品に1回は呼ばれていたので、それで名前が広まったんだと思います」

――でも、こうやってAV引退作インタビューを受けられるくらいのスターに成長しましたから。逆に悔いに残っていることはありますか？

「DVDのリリースイベント開催が10回以内なんです」

――また、それも意外です。

「いまだから言えるんですけど、あまり気が乗らなかったんです」

――ファンのみなさん、当時の話ですから気にしないでください(笑)。

「いまは逆にやりたいんです。当時はオファーされても『う～ん』みたいな感じだったり、バラエティ番組に呼んでもらう機会もあったんですけどグイグイと前へ行かなかったり、AVの共演作でも埋もれちゃったりしていたので、もっとしっかりとやっていればよかったなと思っています」

――そのマイペースさが蘭々ちゃんの持ち味というか、ファンもそう認識していましたよね？

「はい(笑)」

――そんなにガツガツしている姿はいいかなって認識がありました。

「確かに」

――だから、それは持ち味だし、他の女優さんとの差別化ができていましたよ。そこでAV引退作品なんですけど、引退作品を出せる女優さんはなかなかいないですよ！

「本当にありがたいです」

――どういう経緯で引退作品を出したんですか？

「もしかしたら引退作品を出せない可能性もあるけど、KMPさんにオファーをしたらOKをいただきました」

――自ら売り込んだんですか？

「自らです」

――さっき言っていた『AVについて必死に勉強した』の伏線が回収できました！

「だから、引退作品が出せると聞いて、すごく嬉しかったです」

――最初はどちらに転がると思いましたか？

「引退作品はちょっと難しいかなと思いました。しかも、DVDとVRが発売されるんです」

――それは快挙です！

「すごい嬉しいですね」