2019年に東京・下北沢で舞台『無慈悲な光』が行われた時の衝撃は、その後も関係者、ファンの間で語り継がれ、誰もが作品の続編か映画化などを希望した。その夢を叶えるべく映画化のクラウドファンディングが行われ、最終的には約1,650万円もの支援金が集まり待望の映画化が実現した。

映画はその後、見事に完成し、今年5月には完成披露試写会が行われ誰もが感動する素晴らしい作品となった。

しかし、それ以降、映画館での上映はなく、クラウドファンディング協力者に送られたDVDのみが作品を観る手段となっていたのだが、ここに来て急展開、映画館での上映会が実現し多くのファンが観られることになったのだ。

8月22日、東京・シネマート新宿で行われた同作の上映会には、出演したセクシー女優の加藤あやのさん、あべみかこさん、山岸逢花さん、AIKAさん、本庄鈴さん、つぼみさん、栄川乃亜さん、久留木玲さん、そして、監督を務めたお笑い芸人のカジさんが出席し、ファンと涙を共有した。

スクリーンに8人の熱演する姿が映し出されると、涙をぬぐう姿があちらこちらで確認でき、同作は多くのファンを感動の渦に巻き込んだのだ。

上映後は出演者と監督がステージに登壇。クラウドファンディングに協力してくれたファン、来場したファンに感謝の言葉を述べた。

また、挨拶後には制作者側から出演者にまつわる撮影秘話も話され、それぞれのエピソードがさらに感動を呼んだ。

加藤あやのさんは撮影中、出演者のお姉さん役として見守ってくれていて、お茶やコーヒーを共演者やスタッフに配る気づかいを見せてくれたエピソードが制作者から語られた。

あべみかこさんは演じた役のメイクのため、入り時間が他の出演者よりも1時間ほど早く、連日頑張っていたエピソードが披露された。

山岸逢花さんからは満席のお礼が述べられると、制作者から「プレミアムチケットが2分で完売した」と驚きの話が飛び出した。

AIKAさんは制作者から「撮影中いっぱい泣きましたね」と撮影中の秘話が明かされると、「今日も泣きました」とコメント。メイキングDVDには本編にはないAIKAさんの泣いている表情が収録されていることも分かった。

本庄鈴さんは作中、医師に対して反抗的な態度を見せ、笑顔が少ない役を演じたため、穏やかな表情で挨拶すると、制作者からは「こんな感じなんです」と、穏やかな素顔を紹介された。このように今作では出演者のイメージと作中の性格が全く違うキャスティングが多いところも見どころなのだ。

つぼみさんは撮影中、スタジオの片隅で一人台本を読んでいる姿が紹介され、作品に集中し、撮影に挑んでいるエピソードが披露された。

今回の映画からキャスティングされた栄川乃亜さんは舞台の模様をDVDで観た時に泣いたエピソードが明かされたが、実際に自分が撮影に参加すると、「泣くことはなくて、実際に演じた医者の気持ちのまま撮影できた。いまは客観的に映画として観られるので変な二面性を持って観ている」とコメントしてくれた。

同じく今回の映画からキャスティングされた久留木玲さんは出演者の中で最年少のため、撮影中も妹キャラ全開だったことが明かされると、「ドギマギしてカチコチでしたが、先輩方が優しくしてくれたので、どんどんほぐれていった。休憩中も和気あいあいと話してくれたので無事、撮影を終えました」と笑顔で語ってくれた。

そして、監督を務めたカジさんはスタッフ、関係者、ファンにお礼を述べ、無事に舞台挨拶を終えた。

舞台挨拶後にはスクリーンに「ロードショー決定」の文字が映し出されると、続けて「2021.11.19-12.3＠池袋シネマ・ロサ」の文字が堂々と発表されたのだ。

この発表は出演者陣も知らされておらず、全くのサプライズ！　そのため上映を知った出演者たちがステージ脇で大喜びする姿が見られた。

この名作が観られるのはDVDだけで残念だと思っていた矢先に、このサプライズ発表は出演者、ファンともに最高の結果となったのではないだろうか。

「セクシー女優」という世間からは多少の偏見を持たれる彼女たちが、実験用マウスを演じた今作は、社会にはびこる偏見や差別とどう向き合うのかを強烈な問題として投げかけてくれた。

その問題に応えるためにはAVファンのみではなく、世間一般の方も観られる映画館での上映はうってつけではないだろうか。

閉ざされた世界から解き放たれた8人の姿はこの冬、多くの人の感動を呼び共感を得ることだろう。

『無慈悲な光』、それは矛盾だらけの世の中を照らす希望の光へと変わるだろう。

映画ストーリー：無機質な研究所の一室に集められたのは人間と同じ姿をした5匹の実験動物。自分たちを人間だと主張する彼女らに課せられた最後の実験は安楽死。私達は人間です。いいえ、あなた達は実験用マウスです。この物語は彼女らに行われた無慈悲な実験の記録である。

• 作品タイトル：「無慈悲な光」
• 出演：加藤あやの、あべみかこ、山岸逢花、AIKA、本庄鈴、つぼみ、栄川乃亜、久留木玲
• 監督：カジ
• 原作・脚本：えのもとぐりむ（マウスの道徳）
• 制作：アエロ株式会社
• 制作プロダクション：株式会社ラビットワークス
• 公式HP：https://mujihi-na-hikari.com/
• 公式ツイッター：@mujihinahikari

取材＆記事：神楽坂文人（https://twitter.com/kagurazakabunji）