食うために体を売るアイドル

「日テレジェニック系の女の子の何人かは、どこかしらのクラブさんに在籍していた印象があります。最近だとＳさんが、うちに在籍していました」
とは、店長の初田圭介氏（４５）。写真付きの在籍名簿を広げながらの説明だけに、説得力も絶大である。
「たとえば深夜のバラエティ番組で、後ろで笑っている、その他大勢みたいなアイドル予備軍は、ほぼデートクラブに在籍しているといっても過言ではありません。そのくらいしないと、食べていけない時代ですよ」

確かに、この初田氏の意見を裏づけるような話は、潜入前に、芸能記者からも聞いていた。
「地下アイドルが知名度を持つようになって、芸能界のパワーバランスが崩れた。仮面女子のメンバーの枕営業が取り沙汰されたのも、高崎聖子の少し前です。露出が少しあるぐらいでは、セレブライフはほど遠い」
要するに、ただ現役のアイドルというだけでは、メシを食えない時代なのだ。

また興味深いのは、その手のクラブに登録しているからといって、誰もが会員男性と寝ているという話でもないらしい。
「クラブの登録料は安くて１０万円。それにホテル代といってもラブホテルを使うわけにはいかない。正直、単価の高い遊びです。その額を払える男性がお客さんのメイン層なので、皆さん、遊び慣れています。普段、麻布や銀座で飲んでいるので、『プレミアム』より、素人の多い通常コースを望む方のほうが多いんです」

ここでの初田氏の言葉の意味は、こうだ。いわば、デートクラブは会員全員が太客。そもそも「プレミアムだから」「本物の芸能人だから」という理由だけで、ありがたがる男性客ばかりではない。援デリのように、客から一度金をもらえば終わりではない。
もし紹介した女の子の態度が悪ければ、次回も利用する気にはならない。男性会員に、いかに長く会を利用させるかが、クラブにとっての最優先事項とのこと。

「タレントの中には、事務所の指示で、仕方なく登録している子も多い。あからさまにモチベーションが低いタレントは、クラブのスタッフも、お客さんには薦めません」（初田氏）
ということで、見覚えのあるタレントのプロフィールの載った名簿をめくりながら、記者が白羽の矢を立てたのがＭ。かなりの巨乳で知られるグラビア嬢だ。その日は予約のみ。いざＭと千代田区のシティホテルで会ったのは、その２日後のことである。

「こんにちはぁ。◯◯さんですか？　今日は、よろしくお願いします」
と目の前に現れたのは、ニット帽をかぶったＭ。現れた彼女に芸能人のオーラはない。どちらかといえば、年下の親戚といった雰囲気で、自慢の巨乳も冬の装いに隠されている。
そして、驚くほど自然に、我々は予約した階上の一室に向かった。