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個人タクシーの花形隆弘さん(63)が乗せた酔っ払い客は、取り返しのつかない大惨事を引き起こしてしまった。「雪の降る夜中、ミニスカートを穿いた30がらみの色っぽいホステスさんを乗せたんです。酒が入っていたようで、行き先を告げたあとは、すっかり無防備な姿をさらけ出しながら、スヤスヤ寝入っちゃいました」
はだけた胸元やミニスカートの奥の影をバックミラーでチラチラ見ながら、笑みを噛みしめた花形さんだったが、そんな幸運も長続きはしなかった。
「急にムクッと起き上がって、“お腹が痛い!”。そして、車を停める間もなく“ブリッ!”と音がし、車内に臭いが充満して……」出もの腫れもの、所嫌わず。吐かれるケースはそれほど珍しくないが、モロに座席に出されたのは初めてだったという。「男性ならズボンが"堤防"になるんで、これほどの被害にはならないんですがね」これも、女性客ならではの珍事といえよう。
これまで紹介したのは、酒の力を借りて狼藉に及んだモンスターばかりだが、本物の“怪物”はシラフで大暴れも厭わない。運転手歴10年目の波多野功夫さん(41)は、新人時代に出会った高飛車な女性客のことを思い出すと、いまだにハラワタが煮えくり返るという。
「都内の一流ホテルから乗せた、胸元の広く開いたドレス姿の熟女で、乗車するなり、道順を機関銃並みのスピードで、まくしたてられました」まだ新人だった波多野さんが道順を確認したところ、「見下した態度で、“そんなこともわからないのォ!?”と怒鳴られました。その後は緊張のあまり、何度か道を間違えてしまいましたが、その都度、後部座席から“馬鹿”“間抜け”と怒声が飛び、最後は後ろから運転席を蹴飛ばしながら“右に曲がれっていってんだろ。右だよ右。お箸持つほうだよ!”ですよ」
自宅の高級マンションに着いたあと、その女性客は波多野さんに千円札2枚を投げつけ、「釣りは取っとけ、このトンマ」と吐き捨てて下車したというが、「あとで気がついたら、200円不足してました。あんなひどい客は、その後も乗せたことがありません」
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