剛腕山岡プロフィール

1959年8月、愛媛県生まれ。高知県立追手前高校卒。１浪して上京し、神奈川大学法学部入学。卒業後、法政大学大学院人文科学研究科日本史学（近・現代史）修士課程に進むも中退。零細編集プロダクションに２年半在籍し、29歳よりフリーに。91年1月より『週刊大衆』の専属記者を務めながら、『噂の真相』、『財界展望』などを中心に記事執筆。主な著書に『誰も書かなかったアムウェイ』、『アムウェイ商法を告発する』（以上、あっぷる出版社）、『銀バエー実録武富士盗聴事件ー』（創出版）、『福島第一原発潜入記　高濃度汚染現場と作業員の真実』（双葉社）などがある。

【菅義偉政権で日本はどう変わるのか？「冷徹なポピュラリスト」の本性】

　いよいよ菅義偉政権の誕生だが、安倍政権から交代して我が国の政治はどう変わるのか？

　結論をいえば、安倍政権以上に格差社会が拡大し、我々庶民はさらに生き辛い世の中になると思う。格差だけでなく、コロナ禍でさらに国の借金は嵩み、“コロナ増税”の名の下に大増税が実施されるだろう。

　というのは、菅首相は総裁選前から安倍政権を「継承」すると宣言し、安倍政権では２度の消費増税があったのはご存じの通り。その安倍政権は約７年半の間に何をやったかというと、まず国家公務員法を一部改正し、内閣人事局を設置して官僚人事を握ることで、忖度政治を生み出し、結果、森友・加計・検察定年延長問題など、公権力の私物化が起きた。

　異次元金融緩和はデフレ脱却策としては悪くなかったと思う。しかし、新自由経済主義に基づく２０００年代の小泉-竹中路線を引き継いだ露骨な大企業優先の政策が取られたため、いくら日銀が資金を大量に供給しても末端までその恩恵に預かれないからインフレにならず景気回復せず、ただ国の借金が膨れるばかり。儲かるのは、コロナ対策でも槍玉に上がった電通、パソナ、JTB、HISなどの大手企業ばかりだ。

　本来、政府の最大の仕事の一つは社会的弱者への富の再分配だが、その逆をやって来た安倍政治を継承するというより、そもそも菅氏は小泉構造改革内閣で竹中平蔵総務大臣の下、さらに第１次安倍政権で総務大臣としてNHK改革で大ナタを振るい、日本郵政経営を指導した当人。

　加えて、国際的にも安倍氏の右派イデオロギーを継承し米国ベッタリで進めば、激化する米中対立のなか、最悪の場合、我が国が中国から攻撃を受けることも……。

　ただし、安倍氏と違って、菅氏には国家観というものはない。だから、辺野古基地工事強行の一方で沖縄へディズニ―ランド誘致に動いたり、支持率低下などを懸念し、安倍氏の靖国参拝に反対したことも。

　携帯電話、NHK受信料値下げ、東京アクアラインEC割引、ふるさと納税なども菅氏の実績と聞けば、さすが秋田の農家出の叩き上げ議員だけに庶民の気持ちが分かるかというとそれは違う。自己責任を基調とする「小さな政府」主義で、橋下徹元大阪府知事が菅政権で総務大臣候補に名前が上がっているのも考えが同じだから。

　予算が少なく済んで支持率アップになる、ちまちました政策をしているに過ぎず、叩き上げの分、庶民の喜ぶことを知る「冷徹なポピュラリスト」だからだろう。

• （文）山岡俊介『週刊大衆』専属記者。『アクセスジャーナル』編集長（https://access-journal.jp）【Twitter】@yama03024
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/