●男性記者　２４時１０分『こんちは』
傍から見れば、恋人そのものだ。しかも、こんなにかわいい子と。僕らを通り過ぎる男どもの視線が気持ちいい。小雨のせいで、細い髪がペッタペタに頭皮についても気にしない。だって、この子が、この容姿を選んでくれたんだもーん！

記者「オススメのバーがあるんだけど、行かない？」
なみ「えっ、私、バーに行ったことないんです！」

そのバーは間接照明のみでムードが抜群（らしい）。ビール１杯１２００円と値は張る（らしい）が、こんな美女となら、むしろ安い。

記者「こんちはー」
たとえ、初めてくるバーだとしても常連を装うのであれば、夜でも“こんちは”に限る。そして、この薄暗い空間……うん、僕のために、いい仕事してる。彼女もリラックスしてるのか、出身地から家族の話までしてくれた。

記者「逆ナン喫茶、２回目って言ってたけど、１回目はいい人と出会えた？」
なみ「２人組の男性と４人で、カラオケに行ったよ。楽しかったーって感じ」
おおっ、女が時折、タメ口になるのはヤレる証拠って、先輩が言ってたやつ！

記者「恋愛には、発展しなかったんだ？」
なみ「はい。友達と一緒だとタイプの人がいても、お互いに積極的になりづらくて。だから、今回は一人で来たんですよね。○○さん、自己アピールに書いてある通り、優しい方ですね」

いい感じだ。そこはかとなくいい雰囲気のまま、気づけば深夜２時。終電はもちろんない。誘うしかない。こんなときは、相手に判断を委ねるのではなく、はっきりホテルに誘うほうがいいって、先輩が言ってた。

記者「もう帰れないし、泊まれる場所、行こっか」
なみ「うん」
うつむき加減に首をタテに振ってくれた彼女に、バーテンの目もはばからず、キスしてしまった。ゆっくり舌を入れると、彼女も舌で受け入れてくれる。そのまま、ホテルへ。ワンナイトラブ……都市伝説だと思っていたことが今夜、実現しました。