●女性記者　２３時２０分『風呂』
若ハゲめ、部屋に戻ってこないあたり、美女の連れ出しに成功したな。ニヤニヤしながら、このビルを出る様が目に浮かぶわ。

――負けてられない。
こうなったら、壁際にいた５０代男性を指名するしかない。服装もお洒落とは言わないまでも、ユ○クロコーデで及第点。髪型もチャラい大学生のワックス感はなく、小ぎれいにセットしてるのも高評価だ。

男「こんばんはー」
記者「どうも～。ちょくちょく来る感じですか～？」
男「数回は来てるかな。今日はどんな感じ？」
記者「飲みとか？」
男「う～ん、散々飲んできたんだよね～」
記者「なるほど～。じゃあ、食事とか？」
男「う～ん、お腹いっぱいでさ～。それより、今日、寒くない？」

私は、ここで気づくべきだったのだ。彼の様子がおかしいことに……。
記者「確かに～。小雨降ってきましたしね～」
男「あー、さぶっ。お風呂入りたいな～。お風呂入れるところ、行かない？」

イマドキのオジサンふうなのに誘い方は前時代的。この人も結局……ここで引いてはダメ！　暗がりのバーでウイスキー＝セックス目的って考えて、これまで何度もチャンスを逃してきたじゃない！
記者「いやいや～。どこに住んでるんですか～？」
男「○町だよ。どこ？」
記者「△△駅ですよ」
男「隣駅だね！　じゃあ、家に行っていい？」
記者「いやいや～、じゃあ○町で飲みましょうよ～」
男「散々飲んできたから飲めないって。寒いから、お風呂入れるところは？」

頑なに飲み会を拒否。ヤリ目なの、バレバレですから！　次、次！