• twitter
  • RSSリーダーで購読する

icon
Popular Keywords
現在人気のキーワードタグ

icon

本誌再録

  • TOP
  • エンタメ
  • 「山本カントクと二人の名優」山本晋也カントクの桃色青春伝 第7回

「山本カントクと二人の名優」山本晋也カントクの桃色青春伝 第7回

icon
Catch Up
キャッチアップ

「山本カントクと二人の名優」山本晋也カントクの桃色青春伝 第7回

そこで彼が口にしたのが、コインロッカー泥棒のエピソードだった。駅のコインロッカーの鍵を破って盗みを働く。しかも、その男は、たとえば中に10万円入っていたら、1万円しか盗らないという。なぜなら、そうすれば被害者は窃盗に遭ったと気づかない。「あれ、使っちゃったんだっけ」と思い込んで警察に届を出さない。足がつかないわけだ。すぐにピンときたよ。こんな役できるのはイッセー尾形しかいないとね。

ところがだ。イッセーのヤツ、「私、他人と共演するのが苦手なんです」と言う。「だから一人芝居やってるんです」と。おいおい、それじゃドラマにならないよと言っても「ダメなんです」の一点張り。オレも考えて、「じゃあ、お前、ジャリはどうだ?」と言ってみた。すると「子供ですか、それなら大丈夫です」と。だから子連れの泥棒という設定にしたんだ。いつも小さな男の子を連れている男。これがハマッたんだな。ペーソスがあるじゃないか。このドラマは『都会のタコツボ師』というタイトルでFNN系列で放映したら、放送界では最も名誉ある「ギャラクシー賞」をもらってしまった。視聴者にも好評だったから、パート3まで作ったよ。

一方、ベテランで忘れられないのは三木のり平さんだ。1993年に萩本欽一さんが『欽ちゃんのシネマジャック』という映画を企画した。これは欽ちゃん自ら2億円の製作費を出して「1本15分の短編5本立て」をプロデュースするというものだ。しかも「1本につき料金は300円」、さらには「客は観たい本数分だけ自己申告制で払う」という前代未聞のシステム。オレも『仮装大賞』の審査員からの縁で、監督させてもらう幸運を得たわけだ。

これはもう、喜劇の王様・のり平さんに出てもらうしかないと、お願いに行った。すると、言うことが面白かったね。もう最晩年だ。開口一番「台詞はダメ。覚えないよ。全部カンペ」と、ひと言。もう一つ「共演は誰だ?」「丹波哲郎さんです。お二人は戦友という設定です」と言ったら、「ああ、丹波な。わかった。でも、俺は丹波とのツーショットは出ないからな」だって。どうやら嫌いらしいんだよ。

でも戦友だぜ、相手役だ。困りますよと言ったら、「バカ、それを考えるのが監督の役目だろう」って。仕方ないから、全部カットを割って切り返しで撮ったよ。また、カンペも見事だったね。どこを、どう見たって読んでるとは思えない。座布団の裏に忍ばせたり、机の引き出しに入れたり。そいつをボールペンかなんか探すふりして見るわけだ。もう、助監督が「さすがは、のり平さん、なんだかんだ言っても台詞は全部入ってるんですね」って、勘違いするくらいだったよ。
次ページ >>
「山本カントクと二人の名優」山本晋也カントクの桃色青春伝 第7回
  • 「山本カントクと二人の名優」山本晋也カントクの桃色青春伝 第7回

icon
Linkage
関連記事

icon
FANZA新着動画
特選素人娘マル秘動画

FANZA新着動画一覧 >>
icon

このサイトにはアダルトコンテンツが含まれます。18歳未満の閲覧を禁止します。当サイトに掲載されている画像、文章等の無断転用・無断掲載はお断りします。
ご使用のブラウザによってはご閲覧いただけないサイト内のコンテンツがある場合もございますのであらかじめご了承の上ご閲覧ください。

Copyright(C) 夕やけ大衆 All rights Reserved. 風営法届出番号 第8110800026号

当サイトにはアダルトコンテンツが含まれます。
18歳未満および高校生の閲覧を禁止致します。

ENTER
LEAVE